By Michael Erman
[24日 ロイター] - 米疾病対策センター(CDC)が開くワクチン外部委員会に反ワクチン派が26日提出予定の検証報告書を巡り、架空の研究を引用している可能性が浮上した。
報告書は24日にCDCのサイトに事前掲載済みだが、その中で名前を引用された研究者は関与を全面否定し、実在しない研究と明言した。
問題となっているのは「ワクチン防腐剤としてのチメロサール」と題する報告書。反ワクチン団体「チルドレンズ・ヘルス・ディフェンス」をかつて率いたリン・レッドウッド氏が報告する予定。同団体はケネディ厚生長官が設立した。ケネディ氏は長年、科学的証拠を度外視してワクチンと自閉症の因果関係を訴えてきた。
報告書が引用したのは学術誌「神経毒性学」に2008年に掲載された研究論文「新生児期の低レベルチメロサール曝露 脳への長期的影響」で、執筆者の1人がカリフォルニア大デービス校のロバート・バーマン名誉教授。
しかし、バーマン氏は同論文について「私が発表したり実施したりした研究と関係性がない」と明言した。バーマン氏は別の学術誌「毒性科学」に似たような題名の研究論文を執筆したことがあるが、そこでの結論は、レッドウッド氏が示唆している結論と異なると述べた。
「われわれはチメロサールが(自閉スペクトラム症と関係する可能性が指摘される免疫細胞の)ミクログリアに及ぼす影響を検証していない。私は自分たちの研究内容について歪曲を認めるわけにいかない」と猛烈に批判した。
チメロサールを巡っては、CDCスタッフが24日、同サイトに別の報告書を掲載。チメロサールを含むワクチンと自閉症やその他の神経発達障害との関連を示す証拠はないとしている。