By Michael Martina, Stephen Nellis
[ワシントン/サンフランシスコ 23日 ロイター] - 中国の人工知能(AI)新興企業ディープシークが中国の軍事・諜報活動を支援しているほか、米国の規制により中国に輸出できない高性能半導体を入手するために東南アジアのダミー会社を利用しようとしていたことが分かった。米国務省高官が匿名を条件にロイターに明らかにした。
中国法では、中国で事業を展開する企業に政府の要請に応じてデータを提供することを義務付ける。ディープシークが既にデータを提供しているという指摘は、数千万人ものユーザーにとって懸念材料となりそうだ。
米国務省高官は 「ディープシークは中国の軍事・諜報活動に進んで支援を提供してきたし、今後も提供し続ける可能性が高いとわれわれは理解している」と述べ、具体的にはユーザー情報を中国の監視機関と共有しているなどと指摘した。
中国人民解放軍、その他中国国防産業基盤に関する機関の調達記録にディープシークの名前が150回以上出ており。同社が人民解放軍の研究機関に技術サービスを提供していたと述べた。ロイターは調達データを独自に検証できていない。
さらに、米政府の規制対象であるエヌビディアNVDA.O製高性能GPU「H100」に「大量」にアクセスしていると指摘。「輸出管理を回避するため東南アジアのペーパーカンパニーを利用しようとしている。東南アジアのデータセンターにアクセスし、米半導体への遠隔アクセスしようとしている」と語った。ディープシークが輸出管理の回避に成功したかや、ペーパーカンパニーに関する詳細情報は明らかにしなかった。
米政府がディープシークに追加の輸出管理措置や制裁を発動するのかとの質問に、高官は「(国務省として)現時点で発表することはない」と述べた。
ロイターはディープシークにプライバシーに関する取り組みを質問したが、回答を得られなかった。中国の外務省と商務省はコメント要請に応じていない。
エヌビディアの広報は「当社は米国の輸出管理に違反、あるいは米国のエンティティリストに載っている当事者を支援しない」と述べた。その上で「現在の輸出管理下で、当社は事実上、中国のデータセンター市場から撤退しており、華為(ファーウェイ)などの競合他社のみがサービスを提供している」と説明した。