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〔アングル〕大詰めの次期FRB議長選び、ウォラー理事指名なら市場は最も好感か

ロイターAug 8, 2025 12:21 AM

Saqib Iqbal Ahmed

- トランプ米大統領による次期連邦準備理事会(FRB)議長選びが大詰めを迎え、ストラテジストたちは最終候補者の誰が指名された場合に市場がどのような反応を示すかの分析に余念がない様子だ。

 来年5月に任期を終えるパウエル議長の後任としてウォラー理事が指名されれば、FRBのリーダーシップの継続性が意識されて市場はプラスに受け止める可能性がある。半面トランプ氏と「二人三脚」とみなされる人物が次期議長になると分かれば、FRBの独立性に疑念が生じ、米国資産が下落するかもしれない。

 トランプ氏は何カ月も前から、パウエル氏に対して解任をちらつかせるなど「口撃」を続けてきたが、改めて次期議長人事が注目を集めたきっかけは、クーグラー理事が先週予想外のタイミングで辞任を表明したことだった。

 今週になってトランプ氏が次期議長候補を、ウォーシュ元FRB理事、ハセット国家経済会議(NEC)委員長ら4人に絞ったとの考えを示し、7日にはミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長をクグラー氏の残りの任期を務める理事に指名。新たな任期の理事を別に起用する余地を残した。nL6N3TZ18H

 こうした中でブルームバーグは7日、複数の関係者の話として、トランプ氏側近の間ではウォラー理事が次期議長の最有力候補になっていると伝えた。nL6N3TZ10P

 コーペイのチーフ市場ストラテジスト、カール・スチャモッタ氏は「ホワイトハウスからのさまざまな情報発信を経て、投資家は次期議長がハト派バイアスを自認し、トランプ氏に忠実な人物になるとの結論に達している」と話す。

 ブロックチェーンベースの予測市場「ポリマーケット」と賭けサイト「カルシ」では、ウォラー氏、ハセット氏、ウォーシュ氏の3人が最有力候補になっている。

 いずれにしても大半の投資家にとっては、依然としてFRBの独立性が最大の問題で、次期議長とトランプ氏との距離感が市場の反応を左右するだろう。

 

<継続性を好感>

 トランプ氏がウォラー氏を次期議長に指名した場合、市場は最も好ましい反応を見せる、というのが複数の投資家の見立てだ。

 直ちに利下げすべきだという意見のウォラー氏は先月、トランプ氏からの要請があれば次期議長を引き受けると述べた。

 先月30日に終わった連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利据え置きに反対して利下げを主張。FRBの様子見的な政策運営は「慎重過ぎる」と苦言を呈した。

 それでもスタンダード・チャータードのグローバルG10FX調査責任者を務めるスティーブン・イングランダー氏は「ウォラー氏は恐らく、現在のFRBの運営体制を最も継続する人物になる」と指摘した。

 ジャニー・キャピタル・マネジメントのチーフ債券ストラテジスト、ギー・ルバ氏は、市場ではウォラー氏とウォーシュ氏の政策に違いがあるとの声は強くないが、ウォラー氏のFRBにおける態度は柔軟かつ機動性に富んでおり、総じてタカ派的あるいはハト派的なバイアスにも否定的だったと解説した。

<トランプ氏との距離感>

 BCAリサーチのストラテジスト、フェリックス・ベジナ・ポワリエ氏は「次期議長候補がホワイトハウスと足並みをそろえているとの印象が強まるほど、米国資産全般には逆風が大きくなる」と述べた。

 複数のアナリストは、つまりハセット氏が指名されれば、長期金利上昇とドル売りにつながると予想する。

 一部からは、ハセット氏はホワイトハウスと極めて緊密なので、次期議長指名があればFRBの独立性にとって良い兆しにはならないとの見方も聞かれる。

 ウォーシュ氏が指名されても、一抹の不安を呼ぶかもしれない。

 現在スタンフォード大学の客員研究員を務めるウォーシュ氏は、パウエル氏が理事に就任する前の2006年2月から11年4月まで理事の地位にあった。

 この間ウォーシュ氏はしばしば金融緩和ではなく引き締めを唱え、FRBの拡張的なバランスシート政策を批判。コーペイのスチャモッタ氏は、投資家はウォーシュ氏が最近利下げ派に転向した点を歓迎する可能性はあるものの、長年にわたって行き過ぎた金融緩和に厳しい発言をしてきた上に、利下げとともにバランスシートをより迅速に圧縮する決意を見せており、これが既にぎりぎりの財政状況にある政府の借り入れコストを押し上げかねないとの懸念を示した。

 万が一トランプ氏がFRBでの仕事実績がない、あるいは経済畑出身でない人物を次期議長に選べば、FRBの独立性に疑念が持ち上がるとの声もある。

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