
Isla Binnie
[ニューヨーク 19日 ロイター] - 米資産運用会社ブルー・アウル・キャピタルOWL.Nは、傘下の3つのプライベートクレジット・ファンドが保有していた総額14億ドルの貸し出し資産を売却したことを明らかにした。売却資金は投資家への資金返還と債務圧縮に充当する。
併せて、うち1ファンドで解約を恒久的に停止する。ソフトウエア株やダイレクトレンディング市場に対する懸念が高まる中、同社株は急落し、未公開株式(PE)業界全体の売りを加速させた。
売却した資産の貸出先は27業種128社と多岐にわたるが、全体の13%と最大を占めるのはソフトウエア・サービス業界。人工知能(AI)が幅広いソフトウエア企業のサービスに代替するのではないかとの懸念が広がり、関連銘柄が急落するとともに、これらの企業に融資しているプライベートクレジット市場のリスクが意識され、投資家の返金要求が強まったことが、資産売却につながったとみられる。
プライベートクレジット・ファンドが保有していた貸し出し資産の内訳は、ブルーアウル・キャピタル・コープIIが6億ドル、ブルーアウル・テクノロジー・インカム・コープとブルーアウル・キャピタル・コープがいずれも4億ドルとなっている。
ブルーアウルによると、資産売却価格は額面の99.7%。ほぼ当初の評価額と同水準になり、同社のクレイグ・パッカー共同社長はロイターに、特に投資家の間でソフトウエア関連債権価格に対する不透明感が高まる中で、極めて強い評価を得たと説明した。
ただブルーアウル・キャピタル・コープIIは既に定期的な四半期ごとの償還を停止し、現在も解約が自由にできない状態にある。
パッカー共同社長は、ブルーアウル・キャピタル・コープIIの投資家に対し、できるだけ早期に資本を返還したいと表明。従来の解約制度よりも6倍の資金を今四半期中に返還できると述べた。
ファンド保有者に予定している支払い額はファンド価値の30%に相当し、従来の解約で上限とされていた5%を上回るという。
こうしたファンドでは通常、四半期ごとに投資家が一部資金を引き出す機会が提供される。ブルー・アウルは昨年11月にこのプログラムを一時停止し、同ファンドをより大規模な上場ファンドと統合する案を提案したが、投資家が反対したため断念した。
エコノミストのモハメド・エラリアン氏は、ブルーアウルで起きている変化は2008年の金融危機序盤を思い起こさせると指摘。「これは07年8月に似た『炭鉱のカナリア(危機の前兆)』の瞬間だろうか。ブルーアウルが償還を停止しているというニュースを受け、一部の投資家や政策立案者の頭にこの疑問が浮かぶだろう」とXに投稿した。
ブルー・アウルの発表を受け、投資家の間で動揺が広がった。同社株は昨年11月にも同様の試みを受けて株価が急落していた。
同社株は一時10%急落。5.9%安で取引を終えた。同業のアポロAPO.NやアレスARES.Nも下落した。
トゥルイスト・セキュリティーズのアナリスト、ブライアン・フィネラン氏は今回の資産売却について、返金要求が加速し、比較的質の高い資産の売却に追い込まれたと投資家は解釈していると述べた。
ブルーアウルはプライベートクレジット会社アウル・ロックとニューバーガー・バーマン傘下ダイアル・キャピタル・パートナーズが合併して2021年に誕生。その後の低金利局面でプライベートクレジット事業が拡大した。
他のオルタナティブ資産運用大手と同様、伝統的な株式・債券市場以外の分野でポートフォリオを構築してきたが、融資基準やソフトウエア業界への過剰なエクスポージャーなどさまざまな問題で厳しい目を向けられている。プライベートクレジット市場には個人投資家もますます参入している。
一部のアナリストは19日の株価急落に疑問を呈した。レイモンド・ジェームズのアナリストは「過剰反応」と指摘し、ブルー・アウルは「時間をかけてOBDC IIファンドの投資家に全額償還する計画だった」ことから、「償還再開は理にかなわない」と述べた。
オッペンハイマーのアナリスト、ミッチェル・ペン氏は未公開資産クラスに対するネガティブなセンチメントが懐疑的な見方を招いていると指摘。
「プライベートアセットクラスでうまく流動性を創出するのはかなり難しいが、ブルー・アウルは評価額通りの資産売却を実現した。つまり価格評価の正確性を示した」と指摘した。