
Saqib Iqbal Ahmed Lewis Krauskopf
[ニューヨーク 9日 ロイター] - 最近の米ソフトウエア・ITサービス関連株の急落は、人工知能(AI)ブームが意図せざる形で株式市場を変容させつつあるのではないかとの不安を生み出している。浮上してきたのは、果たしてテック株から他の銘柄への乗り換えがAIトレードの先にある問題の存在を示唆しているのか、という疑念だ。
これまで長らく投資家のAIを巡る熱狂の果実を受け取ってきた株式市場は先週、突如として警鐘が鳴らされた。急速なAI技術の進展がソフトウエア業界を消滅させるのではないかとの懸念から、世界的にソフトウエア株が値下がりした。
6日には市場全般が持ち直してそうした不安感も和らいだが、米ソフトウエア株の先行きに不透明感は残っている。オプション市場では、参加者がさらなる下落への警戒感を解除していない。
世界中でソフトウエア株が売られたきっかけは、AI企業アンソロピックが大規模言語モデルに追加した法務関連業務ツールで、既にあった伝統的なソフトウエアの事業モデルに対する疑問を増大させる形になった。
投資家の間にはソフトウエア企業の収益を膨らませ続けてきた流れが途切れるのではないかとの懸念が広がり、ストラテジストらは、生活必需品やエネルギー、工業などバリュー株や景気敏感株への幅広い乗り換えが起きていると指摘する。
<過去との比較>
過去3カ月でソフトウエア株のS&P総合500種に対するアンダーパフォーム率は24ポイント弱と、データがあるこの30年で最悪に近い状況にある。
コロナ禍後の大半の期間、デジタル化やクラウド普及期待を背景に際立った値上がりを示してきたこのセクターが急激な変わり目を迎えたことを物語っている。
足元のような規模で売りが出た局面は1995年以降では、2000-01年のITバブル崩壊時など数えるほどしかない。当時のソフトウエア株のアンダーパフォーム率は25ポイントだった。
歴史を振り返ると、これほどの極端な下落は最終的な投げ売り、ないしは逆張り投資家による押し目買いが入る事態をもたらすケースが少なくない。ただ2000-01年を参考にするなら、アンダーパフォーム期間は長期化してもおかしくない。
<主な下げ銘柄>
S&P情報技術セクターが25年10月終盤に直近高値を付けて以降は、多くの米ソフトウエア株が大幅な値下がりに苦しんでいる。
最も下げがきついのはオラクル ORCL.Nで、25年10月29日から今年2月5日までの下落率は50%弱。サービスナウNOW.NとアップロビンAPP.Oもそれぞれ40%余り値下がりしたほか、ガートナーIT.N、パランティアPLTR.O、インテュイットINTU.O、データドッグDDOG.O、ワークデイWDAY.Oなども軒並み売りを浴びている。
<テック株離れ>
ソフトウエア株の苦境は、テック株全般から資金が引き揚げられている構図の一部でもある。
S&P情報技術セクター.SPLRCTは10月終盤から2月6日午前までに10%余り下落。この間にエネルギー.SPNY、素材.SPLRCM、生活必需品.SPLRCS、工業.SPLRCIは全て10%以上も値上がりし、S&P総合500種全11セクター中8セクターが上昇した。
もっとも情報技術セクターのウエートが33%弱に達する関係で、S&P総合500種.SPXは同期間横ばいにとどまっており、テック株が値上がりに苦戦する状況が続けば、全体的な上昇も難しいのではないかとみられている。
<オプション市場は警戒維持>
オプション市場参加者は、ソフトウエア株の地合いが短期的により不安定化するとの観測を修正するのをためらっている。
iシェアーズの拡大テック・ソフトウエア・セクター上場投資信託(ETF)の30日物予想変動率は足元で41%と、5日に記録した10カ月ぶり高水準からほとんど低下していない。
オーテックス・テクノロジーズによると、同ETFの空売り比率(総発行株式に対する空売り株の割合)は19%と過去最高に達しているという。