
Jennifer Johnson
[ロンドン 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - わずか数カ月の間に、子どものSNS依存は親の不満といった小さな問題から本格的な公衆衛生上の危機へと発展した。オーストラリアは昨年末に16歳未満のSNS禁止措置を施行したばかりだが、既にフランスやスペインを含む他国が追随を急いでいる。米国でも、少なくとも8州が同様の規制や、親の同意要件の導入を試みている。世界規模で未成年のSNS利用が禁止されれば、論理的にはスナップチャットやメタ・プラットフォームズMETA.O傘下のインスタグラムなどは広告収入を失う。しかし投資家はこのリスクをどう相場に織り込むべきか測りかねている。
確かに、多くの地域では既に未成年ユーザーのデータ収集が制限されている。欧州連合(EU)のデジタルサービス法や、昨年改正された米国の児童オンラインプライバシー保護法は、いずれも子ども向けターゲティング広告による収益化を困難にするものだ。とはいえ、調査では一貫して、若い世代がSNSの最も熱心なユーザー層であることが示されており、若者が抜ければ利用者は大幅に縮小する可能性がある。
禁止措置が世界に広がれば、明らかに広告収入は減るだろう。ハーバード大学の研究者らは2023年、17歳以下の米国ユーザーが6つの人気プラットフォームで計110億ドルの売上高を生み出していると推計した。この調査によると禁止措置の影響を最も受けやすいのはスナップチャットで、同プラットフォームは米国の広告収入の41%を17歳以下の層に依存している。この比率が次いで高いのはTikTok(ティックトック)の35%で、続いてユーチューブが27%、インスタグラムが16%だった。教室でのスマートフォン利用禁止といった、より穏やかな禁止措置が導入されるシナリオでさえ、テック企業に重大な影響を及ぼし得る。広告業界調査会社イーマーケターが米国にこのシナリオを当てはめたところ、主要プラットフォームのほとんどで増収率が鈍化する結果となった。
投資家やアナリストはこうしたリスクを軽視しているようだ。ビジブル・アルファの推計によれば、メタの広告収入は2030年に4330億ドルを超え、25年からの増加率は年率17%に達する見込みだ。同社の株価は現在、今後12カ月間の予想利払い・税・償却前利益(EBITDA)の12倍強で、ビジブル・アルファのデータとBreakingviewsの計算によれば過去10年間の平均と一致する。
それでもメタは若年層ユーザーへの依存度が低いため、打撃に比較的うまく対処できる可能性がある。しかしハーバード大学の研究によれば、スナップチャットを運営するスナップSNAP.Nの株価は、依然として予想EBITDAの約11倍で取引されている。禁止措置が始まる前の昨年、既に赤字を計上していたにもかかわらずだ。
10代の若者が禁止策を巧妙に回避する方法を見つける可能性はある。オーストラリアではその兆候が見られるが、それでも新法は確実に影響を与えている。1月中旬時点で、プラットフォーム各社は未成年ユーザー約470万アカウントの削除を余儀なくされた。規制が部分的にしか成功しなくても、SNSへのアクセスが厳しく制限された環境で育った世代は、成人後にSNS利用の熱意が薄れる可能性がある。これら全てを考えると、プラットフォームの収益性は将来的に低下しそうだ。
●背景となるニュース
*スペインとギリシャは3日、子どものSNS利用禁止を提案した。フランスや英国も規制強化を検討している。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)