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COLUMN-〔BREAKINGVIEWS〕グーグル、「買い物代行AI」で描く小売りの新秩序

ロイターJan 16, 2026 6:34 AM

Sebastian Pellejero

- 米アルファベット傘下グーグルは、顧客に代わって人工知能(AI)が商品を閲覧し、比較検討して購入する「買い物代行AI」の導入を発表した。人間ではなく機械が6兆ドル(約950兆円)の購買力を握る世界において、インターネット上の「店頭」を自社の影響下に取り込もうとする試みだ。

これまでの電子商取引は、人間の行動を中心に発展してきた。検索エンジンはキーワードを競売にかけ、小売業者はウェブサイトの改良に力を入れ、オンラインのショッピングモールが激しく競い合う。しかしAIが買い物を代行するようになれば、このシステムはほとんど意味をなさなくなる。AIは広告をクリックしたり、商品ページを閲覧したりしないからだ。

グーグルが発表した新規格「ユニバーサル・コマース・プロトコル」は、コンピューターが認識可能な販売フォーマットを定義している。売り手側は商品の詳細やどのような条件で入手可能かについて明確なデータを提供し、そのデータの完全さや新しさ、信用度が評価対象になる。グーグルがカナダのショッピファイSHOP.TOや米小売大手ウォルマートWMT.Oなどの小売業者と共同開発したこの規格は、自由にアクセスでき、競合サービスとも互換性がある。

検索アルゴリズムを支配するのと同様に、グーグルは規格を設定することで、商取引そのものを所有することなく結果に対して影響力を持つことができる。これは他社の取り組みとは一線を画するアプローチだ。例えば米オープンAIが導入したチャットGPTの買い物ツールは、提携企業が扱う商品の情報に大きく依存しており、商取引の構造自体を築くものではない。

グーグルの新規格は、利益の秩序を覆す可能性がある。ショッピング関連の検索は、インターネット上で最も利益率が高いものの一つだ。一般的な検索よりもはるかに顧客を呼びこむ効果が高く、約3000億ドルの世界検索広告市場で大きな割合を占めている。米アマゾン・ドット・コムは米国におけるオンライン小売の約40%を占め、30%を超える手数料を引き出している。どちらのモデルも、人間が購入行動を行うことを前提にしている。

これのわずかな部分が自動化されただけでも、利益構造は大きく変化するだろう。コンサルタント会社ベインによれば、AIエージェントは数年以内に、日常的なオンライン購入の15ー25%に関与する可能性があるという。顧客が実際にソフトウエアに買い物を任せるかどうかは別の問題だ。

グーグルにとって、この戦略は野心的であると同時に守備的でもある。アルファベットは、年間売上約4000億ドルの約4分の3を広告収入から得ている。AIが従来の広告手法を無効にするなら、スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は、地位を守るために新たな「要衝」を設ける必要がある。店舗の基礎部分の設置は、その手始めとして最適だろう。

●背景となるニュース

グーグルは11日、全米小売業協会のカンファレンスで、顧客の購買プロセスのさまざまな部分にまたがって動作するAIエージェント機能のための新しいオープン規格「ユニバーサル・コマース・プロトコル」を発表した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

免責事項:本サイトで提供する情報は教育・情報提供を目的としたものであり、金融・投資アドバイスとして解釈されるべきではありません。

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