
Jamie McGeever
[オーランド(フロリダ) 14日 ロイター] - 12月の米消費者物価指数(CPI)は、コア指数の前年同月比上昇率が予想をわずかに下回ったが、消費者にとっても金融政策担当者にとっても喜べる要素はほとんどない。
消費者にとって食品価格の急上昇は、現在進行中の生計費危機を嫌でも思い起こさせる。一方、基調的物価を示す数字は、米連邦準備理事会(FRB)が重視する個人消費支出(PCE)物価指数の上振れリスクを示しており、政策担当者にとって居心地の悪いものだ。
CPIの総合指数は市場予想通り前年同月比2.7%上昇。食品とエネルギーを除くコア指数の上昇率は2.6%で、予想を0.1%ポイント下回った。
一見すると歓迎すべきニュースに見える。しかし食品価格は前月比0.7%上昇と、2022年10月以来で最も大きな上昇率となった。前年同月比では3.1%上昇している。
折しも石油価格は再び上昇し始めている。トランプ米大統領の予測不可能で物議を醸す外交政策が、地政学的緊張を高めているからだ。もちろん、石油価格は今も比較的低水準にとどまっており、今後予想される供給過剰によって上値が抑えられる可能性は十分にある。しかし足元の上昇が米国の家計を不安にさせそうなことに変わりはない。
<PCEはさらに上昇か>
FRB当局者らは総合指数よりもコア指数を重視するが、消費者、特に最低所得層はそんな甘いことを言っていられない。
エコノミストは、CPIとPCEの前月比上昇率の「ウェッジ(差)」が開きつつあると指摘する。つまり12月のPCE上昇率はCPIより少し高くなる可能性がある。ただし、政府機関の閉鎖により公表は2月20日に先送りされた。
「エンプロイ・アメリカ」の共同創設者で執行ディレクターのスカンダ・アマーナス氏は、CPIは消費者が多く支出するソフトウエアやコンピューター周辺機器など、一部項目の算入比率が低いと指摘。PCEの方が実際の消費慣行を良く反映しているという。
同氏は「人々が実際にお金を振り向ける商品を見ると(中略)目下のところ価格が有意に上昇している」と語った。
これに呼応するように、バークレイズとモルガン・スタンレーのエコノミストらは12月PCEの前月比上昇率予想を0.5%弱に上方修正した。前年同月比上昇率は2.8%ないし2.9%となる計算だ。
またBNPパリバのアンディ・シュナイダー氏は、12月PCEの上昇率がCPIを「大幅に」上回ると予想した。
<3%が暗黙の物価目標に>
もちろん、FRB当局者らもこうした動きに気付いている。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は今週、インフレ率が今年前半に3%近くでピークを迎え、後半には鈍化して来年はFRB目標の2%に戻るとの見通しを示した。
これは連邦公開市場委員会(FOMC)が12月に示した経済予想におおむね沿った予想であり、目新しさはない。しかしインフレ率が長期間FRB目標を上回っており、目標との差も大きいことを考えれば、やはり切迫感の無さが目につく。
CPIもPCEも、総合もコアも、前年比上昇率が2%を超えてから約5年が過ぎた。ウィリアムズ総裁の見通しが正しいなら、この状態が6年程度続くことになる。
PCEの前年上昇率は3%近く、CPIもそれより大幅に低いわけではない。FRB当局者らはもちろん公には認めないが、「3%が新しい2%である」ことを黙認しているようだ。
複数の要因により、インフレ率は今後数カ月間3%近い水準にとどまる可能性が高い。関税の価格転嫁、住宅供給の逼迫、エネルギーショックの可能性、予想される減税と財政刺激による需要拡大といった要因だ。
これらリスクの一部は現実化しないかもしれないし、他の要因が物価を抑制する可能性もある。しかし消費者と政策担当者はしばらくの間、目標値を超えるインフレ率とつきあい続ける必要がありそうだ。
(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)