米ワーナー、パラマウントの買収案を拒否　ネトフリ合意に「劣る」

Dawn Chmielewski　Milana Vinn

[ロサンゼルス １７日 ロイター] - 米メディア大手ワーナー・ブラザース・ディスカバリーWBD.Oの取締役会は１７日、パラマウント・スカイダンスPSKY.Oによる１０８４億ドルの敵対的買収案について、十分な資金調達が保証されていないとして拒否した。nL6N3XM18O

規制当局への提出書類で開示された株主への書簡で取締役会は、パラマウントは買収案が資産家でオラクルORCL.Nの共同創業者のラリー・エリソン氏のエリソン一族によって完全に保証、あるいは「裏付け」されていると、ワーナー株主を誤解させていると指摘。その上で、保証のようなものはなく、買収提案には「多くの重大リスク」があると表明した。nL6N3XE0VW

ワーナーの取締役会は、パラマウントの提案はネットフリックスNFLX.Oとの資産買収合意より「劣る」と判断。ネットフリックスの買収案はエクイティーによる資金調達を必要とせず、強い債務コミットメントを持つ拘束力ある合意だとした。nL6N3XB0T3

パラマウントの資金調達案への構造的リスクも指摘したほか、財務状況や信用力にも疑問を示した。ワーナーによると、この調達案は７者間での相互条件付の構造になっており、エリソンの信託は必要な資金の３２％しか提供せず、負債額は２８億ドルが上限になっている。信託資産はいつでも引き出すことができるという。

ネットフリックス案は、時価総額４０００億ドル超で投資適格級の企業が支えているとワーナー取締役会は指摘。

一方でパラマウントの時価総額は１５０億ドルで、信用格付けはジャンク級の１段階上にすぎないとし、買収が成立すればパラマウントの負債比率は営業利益の６．８倍となり、フリーキャッシュフローはほぼゼロになるとしている。また長期に及ぶ可能性のある買収完了までの期間中、新たなコンテンツ・ライセンス契約の制限などを課すとの見方を示した。

ネットフリックスが提示した違約金は５８億ドルでパラマウントの５０億ドルを上回るという。

ネットフリックスはこの動きを歓迎。共同ＣＥＯのテッド・サランドス氏は声明で「ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの取締役会は、ネットフリックスの合併契約が優れており、それが株主にとって最善の利益であることを確認した」と述べた。ネットフリックスのもう一人の共同ＣＥＯ、グレッグ・ピーターズ氏はＣＮＢＣの取材に対し、規制当局からの承認について自信を示した。

午前の株式市場で、ネットフリックスは２．５％上昇、パラマウントは４．８％下落した。