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〔アングル〕欧米小売、インフレ下でも有名人起用や価格戦略で需要喚起

ロイターDec 4, 2025 4:24 AM

Savyata Mishra Arpan Varghese

- 感謝祭翌日の大規模セール「ブラックフライデー」を終えて年末商戦が佳境を迎えた欧米では、小売各社が物価高や関税といった逆風の中でも消費を喚起しようとさまざまな工夫を凝らし、それなりの成果を収めている。具体的には富裕層へのシフトや有名人を起用した広告、店舗網の再編などだ。

今週は「1ドルショップ」運営のダラー・ツリーDLTR.Oと百貨店のメーシーズM.Nが通期利益見通しを引き上げ、アパレル大手アメリカン・イーグルAEO.Nも年末商戦について強気の見通しを示した。

ソロモン・パートナーズの消費者小売グループのパートナー、ジェフ・ダーマン氏は「予想外に明るい結果は2つの重要な要因が機能しているからだろう。つまり企業側の従来の見通しが低めだったことと、消費者の耐久力が高まっていることだ」と指摘した。

アメリカン・イーグルの俳優シドニー・スウィーニーを起用した「グレート・ジーンズ」デニムキャンペーンは、需要押し上げに貢献した一連の有名人とのタイアップ作戦の1つ。同社は2日の取引終了後に既存店売上高の前年比見通しを上方修正し、3日に株価が15%も上昇した。9月初め以降の上昇率は60%を超えている。

フリーダム・キャピタル・マーケッツのチーフ市場ストラテジスト、ジェイ・ウッズ氏は、消費者は特定ブランドへの忠誠心があり、値引きセールのチャンスを模索している様子も判明したと話す。

ダラー・ツリーは品ぞろえを拡充し、より多くの所得層から顧客を取り込んでいる。ウッズ氏は「低所得層とともに高所得層も割安品を求め、倹約志向を強めて購入単価を下げている」と述べた。

一方メーシーズは8─10月期の業績が予想を大きく上回ったが、物価上昇圧力を受けて消費者が慎重になっていると警告した。年末商戦を含む11─1月期利益見通しは予想に届かず、株価は約1%下落した。

トニー・スプリング最高経営責任者(CEO)は「消費者はどこでどのようにお金を使うかについて選別色を強めている」と説明した。

ブラックフライデーから翌月曜の「サイバーマンデー」までの期間、ディスカウントストア大手ターゲットTGT.Nや小売大手ウォルマートWMT.Nのオンラインショッピング利用者による「衝動買い」は減少した。

欧州でも買い物客が購入対象を高級衣料品からシーインなどのプラットフォームを通じた安価な衣料品に切り替える動きが広がり、消費需要はさえない。

こうした中で世界的なファストファッションブランド「ザラ」を展開するスペインのアパレル大手インディテックスは、比較的小型の店舗を閉鎖するとともに、収益力の高いより大型の主力店を新規開設している。

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