
[コペンハーゲン 24日 ロイター] - デンマーク製薬大手ノボノルディスクNOVOb.COは24日、経口セマグルチド製剤の治験で、認知機能が低下するアルツハイマー病の進行を抑制する効果が示されなかったと発表した。ノボの減量薬といった主力製品の販売が競争激化によって減速する中、経営にとって打撃となる可能性がある。
今回の試験薬は錠剤の「リベルサス」で、2型糖尿病に関してのみ、承認されている。ノボの糖尿病薬「オゼンピック」と肥満症薬「ウゴービ」の有効成分であるセマグルチドといったGLP-1受容体作動薬が、アルツハイマーの病状進行を遅らせる可能性を示すかどうかが注目されていた。
ノボの株主であるストアブランド・アセット・マネジメントのポートフォリオマネージャーはロイターに「2年で試験が中止されたことは、セマグルチドがアルツハイマー病の進行を遅らせる効果が実質的にないことを示唆している」との見解を示した。
ノボの最高科学責任者のマーティン・ホルスト・ランゲ氏は声明で「セマグルチドはアルツハイマー病の進行を遅らせる効果は示さなかった。ただ、セマグルチドを支える広範な証拠は、2型糖尿病や肥満、関連する併存疾患を持つ人々に引き続き利益をもたらす」と述べた。
今回の結果を受けて、アナリストはノボのアルツハイマー病治療薬開発に対し、懐疑的な見方を強めた。UBSはこれまで、成功の可能性が10%と予想していた。一方、ノボの株価が一時10%程度下落したことに関しては「過剰反応」との声もあった。
米国で承認されているアルツハイマー病の治療薬は2種のみで、いずれも点滴や注射が必要で、副作用を引き起こす可能性がある。世界で5500万人以上が認知症に関する悩みを抱えている。