
Sriparna Roy
[14日 ロイター] - 米製薬大手メルクMRK.Nは、インフルエンザ予防薬を開発中のバイオ企業シダラ・セラピューティクス CDTX.Oを約92億ドルで買収すると発表した。両社が14日に発表した。メルクは主力のがん免疫療法「キイトルーダ」の特許切れを前に事業の多角化を図る。
メルクはシダラ株1株当たり現金221.50ドルを支払う。これは前日の終値に108.9%上乗せした水準。
キイトルーダの特許は2020年代後半に失効する見通しだ。メルクは2021年以降、自社開発と、肺動脈高血圧症薬を開発する米バイオ企業アクセレロン・ファーマを115億ドルで買収するなど一連の大型買収を通して、後期開発段階の医薬品をほぼ3倍に拡大している。
7月には、英ベローナ・ファーマを100億ドルで買収する契約を締結し、新たに承認された慢性閉塞性肺疾患(COPD)薬「オーツバイア」を入手した。
シダラが開発中の長期持続型抗ウイルス薬「CD388」は、ワクチンではなく、免疫状態にかかわらずインフルエンザを予防する効果が期待されている。1回の投与ですべてのタイプのインフルエンザを予防する可能性を持つ。
米食品医薬品局(FDA)や疾病対策センター(CDC)のワクチンに対する見解が不透明な中、CD388がワクチンでない点は注目に値するとの見方もある。
同薬は現在、インフルエンザの合併症を発症するリスクの高い成人および青年を対象に後期臨床試験が進められている。