
[27日 ロイター] - 米半導体大手クアルコムQCOM.Oは27日、データセンター向けの人工知能(AI)半導体チップ2種をと発表した。主力のスマートフォン向け以外への事業多角化を進め、急成長するAIインフラ市場への進出を目指す。同社の株価は20%急伸した。
新チップ「AI200」と「AI250」は、メモリ容量の向上とAIアプリケーションの実行、推論処理を目的に設計されており、それぞれ2026年と27年に発売される予定。新チップは高度なソフトウエアサポートを備えた一般的なAIフレームワークとツールをサポートし、企業の総保有コスト(TCO)低下に寄与すると説明した。
新チップを搭載できるラックも発表した。単なる半導体の販売から大規模データセンター・システムの提供へ移行するエヌビディアNVDA.Oやアドバンスト・マイクロ ・デバイセズ(AMD)AMD.Oを追う。
クアルコムは、サウジアラビアの政府系ファンドが立ち上げたAI新興企業ヒューメインが、26年から200メガワット規模の同社製ラックを導入する予定だと明らかにした。
「効率の高いAIコンピューティングのニーズが世界的に高まり、もはや1社では対応しきれない。クアルコムのAI半導体参入とサウジからの大規模受注は、AIエコシステムの断片化を示す」とラショナル・エクイティ・アーマー・ファンドのポートフォリオマネジャー、ジョー・ティゲイ氏は指摘した。
クアルコムは、スマートフォン(スマホ)向け半導体で世界最大手だが、事業を多角化しスマホへの依存を減らそうとしている。大口取引先だった中国の華為技術(ファーウェイ)HWT.ULを失ったことやアップルAAPL.Oが独自に半導体を開発していることが影響している。またこの2年間に、インテルINTC.OやAMDが強みを持つパソコン(PC)向け半導体にも参入している。