TradingKey – トランプ政権による国家出資の報道で先週23%急騰した米半導体大手インテル(Intel)の株価が、今週は一転して急落した。米政府が「CHIPS法(米国半導体・科学法)」の補助金を株式に転換し、インテルの10%を取得する案が浮上し、投資家の失望を招いたためだ。
8月18日(月)、ブルームバーグは関係者の話として、米政府がCHIPS法の資金の一部または全額をインテル株式に転換し、約10%を取得する方向で協議していると報道。実現すれば米政府はインテルの筆頭株主となり、同社は事実上「国営企業」と化す。
市場では、米政府の資金投入が業績回復や業界リーダーシップ復活の後押しになるとの期待があった。しかし、今回のスキームは投資家にとってサプライズとは言えない。インテルはすでに109億ドルの補助金受給が決まっており、これは10%株式取得に必要な約105億ドルとほぼ同規模で、追加資金がほとんど生じないためだ。
この「真新しさに欠ける国家出資」が投資家の不満を招き、同日インテル株は一時5%超下落した。インテル株を8万株以上保有するAptus Capital Advisorsは「米政府がブルーチップ企業を救済に動くという事実は、同社の競争力が市場の想定以上に悪化している兆しかもしれない」とコメントした。
さらに、特定企業への直接関与は米国では極めて異例であり、「対中競争カード」の一環との見方も出ている。自由市場の原則に対する挑戦だとの指摘もある。
もっとも、この情報はホワイトハウスやインテルから正式に確認されておらず、トランプ政権が最終的にどのような形で出資に踏み切るかは不透明だ。
一方、日本のソフトバンクグループが20億ドル規模のインテル投資を計画していると伝わり、同日時間外取引でインテル株は約5%上昇。ウォール・ストリート・ジャーナルは「市場はソフトバンクの動きを信任の表れと受け止めた」と報じている。