TradingKey – シスコ・システムズ(Cisco Systems, CSCO.US)は12日(水)、2025会計年度第4四半期(7月26日終了)決算を発表。業績は市場予想をわずかに上回ったが、2026会計年度通期見通しは力強さを欠き、時間外取引で株価が下落した。
第4四半期の売上高は147億6,000万ドルで前年同期比7.6%増、純利益は28億2,000万ドル、1株当たり利益(EPS)は0.71ドルとなり、前年同期の0.54ドルを上回った。事業別では、ネットワーク事業の売上高が76億3,000万ドル(前年同期比12%増)と予想の73億4,000万ドルを大幅に上回り、最大のハイライトとなった。一方、セキュリティ事業は売上高19億5,000万ドル(前年同期比9%増)で、予想の21億1,000万ドルを下回った。
短期的には堅調な結果となったものの、市場が注目したのは今後の見通しだ。シスコは2026会計年度第1四半期の調整後EPSを0.97~0.99ドル、売上高を146億5,000万~148億5,000万ドルと予想し、市場予想をわずかに上回った。しかし通期見通しは調整後EPS 4.00~4.06ドル、売上高590億~600億ドルと、LSEGコンセンサス(EPS 4.03ドル、売上高595億3,000万ドル)に概ね沿った水準で、上方修正のサインは示されなかった。
AI分野では積極的な姿勢を示した。シスコはブラックロックやマイクロソフトと提携しAI基盤投資を行うほか、OpenAIとソフトバンクが支援する中東「スターゲート(Stargate)」データセンター計画にも参加。CEOチャック・ロビンス氏によれば、前四半期のAI基盤関連受注は8億ドル、2025会計年度累計では20億ドルを超え、当初目標の2倍に達した。そのうち約10億ドルはGPU後段ネットワーク接続向けとのこと。「AIは一時的な流行ではない」と強調した。
一方、CFOマーク・パターソン氏は、関税問題がある程度明確になったとはいえ、依然として「複雑な経営環境」に直面していると述べた。
シスコ株は年初来19%上昇し、S&P500指数をアウトパフォームしているが、成長を示す通期見通しの材料が不足したことから、投資家は決算後に利益確定の動きを見せた。これは、テクノロジー株市場における「期待達成後の調整」という慎重姿勢を反映している。