[4日 ロイター] - 米電気自動車大手テスラTSLA.Oは新たな報酬契約に基づき、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)に約 290億ドル相当の株式を付与することを承認した。転換期にあるテスラの経営幹部として引き留める狙いがある。9600万株の新株付与は、マスク氏が27年まで経営幹部に留まる場合にのみ付与される。
テスラは25年にマスク氏の報酬を検討する特別委員会を設立。株式報酬はマスク氏の議決権を段階的に強化することになる。長期のCEO報酬案は今年11月6日の年次投資家会議で投票に付される。
委員会は4日の提出文書でマスク氏の「事業や関心、時間などへの要求は広範で多岐にわたることを認識している。今回の報酬がテスラに留まる動機付けになると確信する」と記した。
マクス氏の報酬を巡っては、2018年の500億ドル超の報酬パッケージをデラウェア州裁判所が昨年、無効としていた。デラウェア州裁判所は取締役会の承認プロセスに不備があり、投資家に不公平だと指摘。マスク氏は3月に上訴した。
デラウェア大学のチャールズ・エルソン氏は「数年前に不適切と判断されたもののリパッケージにすぎない」と指摘した。
テスラの投資家ゲイリー・ブラック氏はXで、今回の報酬案はマスク氏と株主のインセンティブを一致させ、マスク氏留任の不確実性を排除するものであり、テスラにとって「非常に好ましい」ものとみるべきだとの見解を示した。
自動車事業の販売減や株価低迷の中、13%の株式を保有する最大株主のマスク氏は、テスラを人工知能(AI)とロボティクス企業として位置付けようとしている。調査データによると、テスラのブランドロイヤルティーはマスク氏が昨年夏にトランプ米大統領への支持を表明した後、急落している。