
David Lawder
[ワシントン 20日 ロイター] - トランプ米大統領が非常事態権限に基づき広範に発動した緊急関税を連邦最高裁が違法と判断した場合、過去1年分を中心に少なくとも1750億ドル規模の関税収入が返還対象となる可能性のあることが20日、ペン・ウォートン予算モデル(PWBM)の試算で分かった。
PWBMはペンシルベニア大学に属する超党派の財政研究機関。
最高裁は早ければ20日にも、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税の適法性について判断を示す可能性がある。違法とされた場合、輸入事業者が米税関・国境警備局(CBP)に対し、支払済み輸入関税の返還を求める動きが一斉に広がる見通しだ。
トランプ氏は関税による歳入を強調してきた。米議会予算局(CBO)は、トランプ関税全体の歳入効果を今後10年間で年約3000億ドルと見積もる。ただ、最高裁判断次第では、その相当部分が返還に回る可能性がある。
PWBMの上級エコノミスト、リズル・ボラー氏によると、品目別・国別の関税率と輸入統計を突き合わせる「積み上げ型」の予測モデルを用い、トランプ氏がIEEPAを根拠に課した関税を含む個別の追加関税を織り込んだ。
ボラー氏によると、同モデルは長期の歳入予測用に構築され、米国勢調査局の輸入データを参照する。8桁の関税コードに基づく約1万1000品目、233カ国のデータを横断し、統計的な予測手法で推計した結果、IEEPAに基づく関税収入は1日当たり約5億ドルに上るという。
モデルでは、トランプ氏が同法に基づく関税を25年2月に導入して以降、関税の累計受取額を19日時点で1790億ドルと見積もった。
PWBMは別の試算として、CBPが公表するIEEPA関税などの評価データを、米財務省の関税収入全体に占める比率で外挿する手法も用いた。この場合も、返還リスクのある金額は1750億─1760億ドルとほぼ同水準になったとしている。
ベセント米財務長官は1月、ロイターに対し、関税の返還義務が生じても財務省は容易に賄えるが、最高裁はIEEPA関税を支持するだろうとの見方を示した。
政権当局者は、最高裁がIEEPA関税を違法と判断した場合でも、別の権限に基づく関税に切り替えて復活させる方針だとしている。