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〔アングル〕メキシコ、対米関係できわどい綱渡り ベネズエラ攻撃で緊張高まる

ロイターJan 7, 2026 2:26 AM

Laura Gottesdiener Emily Green

- メキシコ政府は米国がベネズエラ攻撃に踏み切ったことで、軍事作戦を強く非難する一方、メキシコがトランプ米大統領から次の標的にされないように二国間関係を一層強化するなど、第2次トランプ政権発足以降、最もきわどい綱渡りを強いられている。

3日に米精鋭特殊部隊がベネズエラのマドゥロ大統領とその妻を自宅で拘束してから数時間後に、トランプ氏はメキシコ国内での米軍行動の可能性に言及。麻薬カルテルがメキシコを「支配している。メキシコには何かをしなければならないだろう」と述べた。

米国によるベネズエラ攻撃でメキシコのシェインバウム大統領が動揺したのは明白だ。シェインバウム氏は5日朝の定例記者会見の冒頭、ベネズエラに関するメキシコの立場を詳述した文書を読み上げた。「われわれは、他国の内政への介入を断固として拒否する。中南米の歴史は明白でかつ説得力を持っている。介入は民主主義をもたらしたことはなく、繁栄を生んだことも、持続的な安定を生み出したこともない」

シェインバウム氏がこれほど厳しくトランプ政権を批判するのは珍しく、中南米諸国の米批判としても最も強いトーンの1つと言える。

安全保障アナリストはシェインバウム氏が米のベネズエラ攻撃を激しく非難したのは、メキシコの麻薬組織に対して同様の行動が取られることを容認しないという意思表示だとみている。

しかしメキシコ当局者や安全保障アナリストによると、メキシコは舞台裏ではベネズエラ攻撃を受けて米国への接近を強める可能性が高く、二国間の安全保障協力を一段と緊密にすることで米国の攻撃的行動を食い止めようとする可能性が高いという。

メキシコの安全保障当局者は「共同の安全保障協力を拡大し、メキシコ自体が麻薬カルテルとの戦いを強化することが、米国による一方的な軍事介入を避ける上で鍵になる」と述べた。

<地域全体への警鐘>

安全保障アナリストによると、米国によるベネズエラ攻撃はトランプ氏が中南米における米国の支配を主張するためにどこまで踏み込む用意があるのかを示すシグナルであり、メキシコにとって危険性が大幅に高まった。

メキシコの安全保障アナリスト、カルロス・ペレス・リカルト氏は「(ベネズエラ攻撃は)地域全体への警鐘になった。(シェインバウム氏は)危うい綱渡りをしている。介入に反対する確固たる姿勢を表明しつつ、極めて非対称な力関係の中でメキシコにできる唯一のこと、つまり米国と協力し続けることも同時に行っている」と述べた。

シェインバウム氏はこの1年、このような政治的綱渡りをうまく乗り切ってきた。メキシコの主権を守りつつ、米国をなだめるために麻薬カルテルの高位幹部を2度にわたり大量に米国に引き渡し、麻薬組織「シナロア・カルテル」に対して1年にわたって軍事攻勢をかけてきた。

こうした取り組みは米政府高官から評価されている。

第2次トランプ政権の初期に麻薬取締局(DEA)の長官代行を務めたデレク・マルツ氏は「進行中の二国間捜査と協力は正しい方向に進んでいると思う」と述べ、近い将来に米国がメキシコで軍事行動を取るとは予想していないとも語った。

非政府組織(NGO)、国際危機グループの上級アナリスト、デイビッド・モラ氏は、メキシコ政府が米国と共同の軍事作戦に関与するようになると予想。メキシコがかつてこのような政策を取ったことはなく、「シェインバウム氏への圧力は高まるだろう」とみている。

<ジャングルの掟>

ベネズエラ攻撃をめぐる余波が続く中、メキシコの当局者は、その可能性が低いとはいえ、軍事攻撃を受ける可能性に検討を加えた。米国がマドゥロ氏に対して行ったようにメキシコの指導部を標的にすることはほぼなさそうだが、麻薬カルテルに対する一方的な行動があればメキシコ政府は権威が失墜して主権が損なわれ、深刻な打撃を受ける。

シェインバウム氏に近いアルフォンソ・ラミレス・クエジャル国会議員は「そうなれば国際的な大惨事だ」と指摘。その上で、米国とメキシコの安全保障と貿易における緊密な関係、そして米国と「協力し、協調する強い意志」がメキシコにあるため、米政府がそこまで踏み込むとは思わないと述べた。「世界はジャングルの掟の中では生きられない」という。

ペレス・リカルト氏など一部のアナリストは、トランプ氏が4日にコロンビアとキューバの指導部を批判したことで、米国の関心はメキシコより先に他の中南米諸国に向かうとみている。メキシコの安全保障当局者も同じ考えで、「メキシコが次の標的になるかどうか分かるのは、(コロンビアとキューバが)攻撃されてからだ」と話した。

免責事項:本サイトで提供する情報は教育・情報提供を目的としたものであり、金融・投資アドバイスとして解釈されるべきではありません。

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