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〔アングル〕ベネズエラ攻撃、中国の領有権主張に追い風 早期台湾侵攻は見込まれず

ロイターJan 5, 2026 12:07 AM

Brenda Goh Laurie Chen

- 米軍によるベネズエラ攻撃は、台湾や南シナ海を自国領土と主張する中国の立場を強化するが、中国が台湾侵攻を早めるきっかけにはならない――。複数の専門家はこうした見方をしている。

中国の習近平国家主席の台湾を巡る戦略思考や時間軸は、米国の行動よりも中国国内の情勢に影響される、というのが専門家の分析だ。

ただベネズエラのマドゥロ大統領が拘束され、トランプ米大統領がベネズエラを一定期間「運営する」方針まで示した今回の事態は中国にとって、国際社会で米国非難の声を広げて自らの存在感を高める望外のチャンスを手にしたとみられている。

さらに中国は、台湾やチベット、南シナ海、東シナ海における領有権問題で米国の批判に反論するとともに、その主張を正当化する手段として米軍のベネズエラ攻撃を利用してもおかしくない。

中国は台湾を自国の省の1つと定めており、南シナ海のほぼ全域も自国領だとしている。当然台湾や、南シナ海に面する東南アジア諸国はそうした主張を認めていない。

<反撃材料>

ブリュッセルに拠点を置く非政府組織(NGO)、国際危機グループのアナリスト、ウィリアム・ヤン氏は「米政府は長らく一貫して中国の行動が国際法違反だと唱えているが、今やそれは崩れつつある。中国が今後、米国に反撃するための多くの隙や安価な材料を生み出している」と指摘した。

中国政府は、米軍によるベネズエラ攻撃が国際法違反で、中南米の平和と安全を脅かすと非難。ニューヨークでの裁判に向けて拘束されているマドゥロ氏と同氏の妻の釈放を求めた。nL6N3Y501M

マドゥロ氏は拘束される数時間前、首都カラカスで中国の代表団と会談しており、その様子を自身のインスタグラムに写真付きで投稿していた。

中国外務省は、代表団の現在の所在場所についてのコメント要請に回答していない。

4日には中国国営新華社が、米軍による攻撃を「露骨な覇権主義的振る舞い」と断じた上で「米国の侵略は、いわゆる『ルールに基づく国際秩序』という米国が口にする言葉が、実は『米国の利益に基づく略奪的な秩序』に過ぎないという事実を、よりはっきりと誰にも認識させた」と付け加えた。

<侵攻の現実味>

中国は台湾に対する圧力を強め、先週には台湾を取り囲む海域で過去最大規模の軍事演習を実施。実際の紛争時に台湾への外部支援を遮断する力があると誇示した。

それでも複数の専門家は、中国がベネズエラ情勢を利用して、すぐに台湾攻撃をエスカレートさせるとは予想していない。

北京の人民大学で国際関係論の教授を務める石英紅氏は「台湾制圧は、発展途上でなお不十分な中国の能力にかかっており、遠く離れた大陸でトランプ氏が何をしたかとは関係がない」と話す。

アジア・ソサエティーで中国政治を研究するニール・トーマス氏は、中国は台湾を内政問題とみなしているので、台湾海峡における軍事行動の先例として、米軍によるベネズエラ攻撃を引き合いに出す公算は乏しいと想定した。

トーマス氏は「中国は平和、発展、道義的リーダーシップを掲げる自らの立場を米国と明確に対比し、アピールしたい」と述べ、習氏はベネズエラを気にしていないが、この問題が米国を泥沼に引きずり込むことを期待するとみている。

台湾与党の有力議員で、国会の外交・防衛委員会に所属する王定宇氏は、中国が米国の例にならって台湾を攻撃するという見方を否定。「中国は台湾への敵意を欠いたことはない。だが(侵攻の)実行が可能な手段を持ち合わせていない。中国は米国ではないし、台湾もベネズエラではない。もし中国が本当に侵攻できるなら、とっくに実行していた」と強調した。

 

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