[ベイルート 26日 ロイター] - シリアとイスラエルの安全保障協定締結を巡る協議が、土壇場で暗礁に乗り上げた。4人の関係者が明らかにした。イスラエルがシリア南部のスワイダ県をつなぐ「人道回廊」の設置を要求したためで、シリアが反発しているという。
両国は、米国が仲介して協議を重ね、ここ数週間で協定の大枠合意に近づいていた。7月にイスラム教ドルーズ派数百人が宗派間の衝突で死亡したスワイダ県を含めた地域に非武装地帯を設定することを目指していた。
イスラエル国内にはイスラム教ドルーズ派が約12万人居住。その男性はイスラエル軍にも従軍する。イスラエルはシリア情勢が不安定化する中、ドルーズ派の保護を掲げ、シリアへの軍事攻撃に踏み切った。
イスラエルはこれまでの協議で、スワイダ県への援助を目的とした陸上回廊の開設を要求したが、シリアは主権侵害に当たるとして拒否していた。イスラエル当局者2名、シリアと米国それぞれの関係者によると、イスラエルはこの要求を協議の終盤に再び提示したという。
シリアと米国の関係者は、イスラエルのこうした要求を受け、国連総会に合わせて今週予定されていた協定を巡る発表ができなくなったという。
交渉を仲介してきた米バラック特使は23日、シリアとイスラエルには「緊張緩和に向けた合意」が近いと述べた。イスラエルが攻撃を停止し、シリアはイスラエル国境付近に機械や重機を移動させないことに同意する内容で、ある外交筋は米国が「安全保障協定から緊張緩和に向けた協定へと目標を切り替えているようだ」との見方を示した。
シリア当局者はロイターに、協議には「前向き」だったとしつつ、今週に入ってからはイスラエルとの協議が停滞していると明らかにした。