Jason Lange James Oliphant
[ワシントン 11日 ロイター] - トランプ米大統領による行政権の拡大に対し、国民が不安を抱いており、大多数が大統領権限の制限を支持していることがロイター/イプソスの世論調査で明らかになった。
ボストン大学の政治学者デービッド・ホプキンス氏は、この国は緊急事態にあり、大統領権限を大幅に拡大して対処する必要があるというトランプ氏の考えを、大半の国民は受け入れていないと述べた。
トランプ政権は過去数週間で、犯罪が制御不能になっていると主張して首都ワシントンの警察を掌握し、州兵を派遣した。さらに、シカゴやニューオーリンズへの派遣も検討している。
自分の州の大都市に武装した兵士が配備されれば安全だと感じると回答した人は32%だった。共和党支持者の約62%は大都市での軍のパトロールに好意的だったが、こうした意見は無党派層では約25%、民主党支持者では約10%にとどまった。
一方、大統領が金利を設定したり、企業に製品の製造場所を指示したりする権限を持つことは望ましいと考える米国人は全体でわずか16%で、共和党支持者では34%、民主党支持者では2%だった。
トランプ氏の全体的な支持率は42%で安定しており、共和党支持者の90%が同氏を支持している。
ボストン大のホプキンス氏は、「市民が都市部の犯罪や経済状況について懸念を抱いているとしても、どちらの問題も危機的状況にあり、解決のために前例のない対策が必要だとは考えていない」と述べた。
「トランプ氏が求めるどんな権力も喜んで認める個人的な崇拝者が確かに存在する。しかし、過去3回の大統領選でトランプ氏を支持しながらも、同氏の権限が無制限に行使されるべきではないと考える共和党支持者も多くいる」と指摘した。
有権者の大多数は、大統領が連邦裁判所の権威を尊重することを望んでいる。民主党支持者の90%、共和党支持者の70%は、大統領が司法の判断に従うべきだと答えた。
また、政府がより迅速に行動できるよう三権分立による権力の抑制と均衡を一部放棄する意思があるかとの質問に対し、共和党支持者の39%がこれを受け入れると回答し、45%が拒否した。無党派層では17%、民主党支持者でも同じ割合がこの考えを支持した。
「米国は世界で最も偉大な国」という意見に同意すると答えた人は全体の約29%で、トランプ氏の最初の任期中の2017年11月の調査の38%から減少しており、「米国例外主義」が衰退している可能性が示された。
民主党支持者の間では26%から12%へ大きく低下した一方、共和党支持者の間では59%から55%への小幅な低下にとどまった。
今回の調査はオンラインで全米を対象に実施され、1084人の成人から回答を得た。