
Naomi Rovnick Simon Jessop
[ロンドン 22日 ロイター] - 北欧の年金基金などの機関投資家が、ドル資産を保有するリスクへの警戒感を強めている。
フィンランド、スウェーデン、デンマークの年金基金首脳や業界幹部はロイターに、米国の財政悪化懸念やトランプ政権の外交政策の不確実性が、ドルや米国債、米国株に脅威を与えているとの認識を示した。
北欧の年金基金は欧州でも最大規模の資産を運用している。
今週にはスウェーデンの年金基金アレクタとデンマークの年金基金アカデミカーペンションが、米国債を既に売却したか、売却手続きに入っていると明かした。
両基金とも、これらの決定は最近の出来事とは直接関係ないと説明した。ただトランプ大統領がデンマーク自治領グリーンランドの領有意欲をあらわにし続ける中で、欧州側が金融面で対抗策を講じているのではないかとの憶測も生じている。
退職金運用について助言するラッセル・インベストメンツのソリューション戦略・債券・外国為替グローバル責任者を務めるバン・ルー氏は「(顧客との間で)米国資産から離れる(かどうか)大いに議論している。顧客の約5割は何か対応するべきかを検討中だ」と述べ、特にスカンジナビア諸国とオランダの顧客にその傾向が見えると付け加えた。
米シアトルに拠点を置くラッセルが助言する顧客の総資産は1兆6000億ドル、直接の運用額は6360億ドルだ。
<政治とは一線画す>
長期的な資産配分の変化が顕在化するには時間がかかるし、強い経済と分厚い市場を持つ米国は引き続き魅力がある。このため米国株はなお最高値近辺で推移している。
しかし米国の政策不透明感はドルを圧迫し、2025年は主要通貨に対して10%下落した。米国債も売られ、足元の30年債利回りは4.9%前後と、世界金融危機時に迫ってきた。
アレクタは、米国債とドルに付随するリスクが高まったとの理由で、保有していた米国債の大半を既に売却。アカデミカーペンションは米政府の資金調達基盤の弱さを挙げて、月末までに米国債を処分すると表明した。
ただアカデミカーペンションは、この動きが米国とデンマークの政治的な対立と結び付ける政治的なメッセージではないと強調する。
長期的な投資判断においては、一時的な事象は重要視しないのが通例だ。
デンマークの保険・年金業界団体幹部は、米国の政策は資産価値にとってリスク要因だが、年金基金は政治的理由で資金を引き揚げないと明言。「資本の武器化は全くあり得ない。そうすることはわれわれの仕事ではない」と話した。
<予測不能性>
それでも650億ユーロ(761億ドル)を運用するフィンランド年金大手イルマリネン幹部のアニカ・エクマン氏は、米国は依然として投資可能な市場だが、リスクプレミアムは「増大し続けている」と指摘した。
フィンランドの年金保険事業者ベリタスのラウラ・ウィックストロム最高投資責任者は、米国の政策がドルにとってリスクになっているとの見方を示した上で「予測不能性が高まるほど、より困難な(投資)環境になる」と身構えている。