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COLUMN-〔BREAKINGVIEWS〕停戦でも尾を引くインフレ圧力、FRBの試練に

ロイターApr 9, 2026 2:18 AM
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Gabriel Rubin

- ガソリン価格はロケットのように急上昇し、羽毛のようにゆっくり下がる。米国の消費者と企業がこれまで目の当たりにしてきたのはその上昇局面で、米国自動車協会(AAA)によると8日時点の平均小売価格は1ガロン=4.18ドルにまで跳ね上がっている。

米国とイランは足場のもろさをはらみながらも2週間の停戦を表明し、ホルムズ海峡の安全な通航が約束されたが、人々に安心感は乏しい。エネルギー高が他の製品・サービスへの投入コストという形で実体経済に波及しているからだ。米連邦準備理事会(FRB)が2022年に学んだ通り、世界的なエネルギー供給混乱に起因するインフレ効果は尾を引いてしまう。

近年の政策担当者は、供給問題を解決するために必要な時間とその難度を繰り返し過小評価してきた。バイデン前政権とFRBはいずれも、コロナ禍に伴う供給ショックは一過性に終わると想定するという間違いを犯した。ロシアのウクライナ侵攻をきっかけとした22年のエネルギー供給逼迫は、米ガソリン価格を1ガロン=5ドル超まで押し上げ、インフレ圧力が一段と増大。最終的にFRBは方針を転換し、同年に計425ベーシスポイント(bp)に上る利上げに踏み切った。

現在のイランにおける紛争が解決に向かうとすれば、FRBは年内に利下げする余地があるかもしれない。だが非常に多くのエネルギー供給能力が破壊された現実を踏まえれば、利下げは現実味が薄い。例えばカタールの液化天然ガス(LNG)生産量はこの先5年で17%低下すると推定されている。

物価は「急速に」値下がりするというトランプ米大統領の主張とは反対に、エコノミストらは、エネルギー高がいかに幅広い消費財や中間財に浸透しているのかを追跡しているところだ。バンク・オブ・アメリカのエコノミストチームは、3月の米消費者物価指数(CPI)前月比上昇率が0.9%、食品・エネルギーを除くコアCPIでも0.3%になりそうだと予想する。今後数カ月でこうした動きは逆方向に転じる可能性はあり、エネルギーのコストは下落するだろう。しかし運輸から工業製品まで、石油製品に依存する業種のコストは増大していくとみられる。

このような状況は、トランプ氏から次期FRB議長に指名されたケビン・ウォーシュ氏にとって厳しい洗礼になるだろう。

もし運が良かったとしても、ウォーシュ氏は議会で指名承認されて正式就任した後、世界の化石燃料供給の約20%を左右しかねない不安定な停戦への対応に追われる。そして最悪の場合は、深刻なエネルギー供給ショックに直面しながら、11月の議会中間選挙を前に自らの政治的立場を強化するため利下げを求めるトランプ氏に抵抗しなければならない。

イラン情勢が紛争拡大の瀬戸際から引き返したこと自体は歓迎すべきだが、紛争がもたらしたインフレ圧力はもはや経済に取り込まれている。

●背景となるニュース

*トランプ米大統領が8日に条件付きでイランとの2週間停戦に合意したと表明した後、原油価格は急落して1バレル=100ドルを割り込んだ。

*最新の米個人消費支出(PCE)物価指数と、米消費者物価指数(CPI)はそれぞれ9日と10日に発表される。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

免責事項:本サイトで提供する情報は教育・情報提供を目的としたものであり、金融・投資アドバイスとして解釈されるべきではありません。

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