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COLUMN-〔BREAKINGVIEWS〕投資家が「国債愛」を学ぶべき理由とは

ロイターJan 5, 2026 3:15 AM

Jon Sindreu

- 「時限爆弾」という表現は、公的債務や財政赤字に関する議論で驚くほど頻繁に使われる。シタデル・セキュリティーズのジム・エスポジート氏も、2025年にこの比喩に頼った金融界の著名人の一人だ。世界の政府債務が100兆ドルに達し、大部分の国で経済規模に対する割合が急上昇している現状では、このような比喩は魅惑的だ。

しかし、26年にはトーンが変わる可能性がある。インフレ率の急拡大、地政学的ショック、記録的な債務残高の中で公的債務という爆弾は破裂しなかった。物価上昇と中央銀行の政策金利がより好ましい方向に向かっている今、投資家は心配するのをやめ、国債を愛することを学ぶかもしれない。それは国債の金利低下を意味し、重圧にさらされた英国とフランス、米国の財務相らに多少の余裕をもたらすだろう。

国際通貨基金(IMF)は昨年10月、先進国の債務残高が2030年に国内総生産(GDP)比で119%となり、25年の110%から上昇すると予測した。新興国も30年に82%となり、25年の73%から跳ね上がる見通しだ。08年の世界金融危機以降、多くの国で公的債務がおおむね着実に増加してきたが、新型コロナウイルス禍後はそのツケが回ることへの懸念が強まっている。

発火点の一つとなったのが、22年に英国で当時のトラス首相が発表した「ミニ予算」だ。財源の手当てを欠く450億ポンド(589億ドル)の減税案を発表し、投資家らは英国債を売り浴びせた。トランプ米大統領が25年早期に輸入品への関税引き上げと減税を打ち出すと、米国債の売り注文が膨らんだ。最近ではフランス国民議会(下院)が膠着(こうちゃく)状態となり、巨額の財政赤字が市場を不安に陥れた。

理論上、債券投資は比較的堅実な運用であるべきだ。だが、現実には投資家が先進国の国債を金利変動への賭けに利用する傾向もある。10月にはこのような実態が浮き彫りになった。

中央銀行の追加利下げが市場で織り込まれるのに伴い、米国とドイツ、英国の国債利回りが低下した。特に注目すべきなのは4月から8月にかけて高止まりしていた米国債30年物利回りが下落し、より短期の国債の利回りと連動した点だ。

要するに投資家らの金融政策に対する見方が変化すると、一見解決困難な財政の問題はすぐに背景へと退く。最近の主な変化は、少なくともエネルギーや食品のように変動が激しい項目を除くとインフレ率がピークを過ぎたように見える点だ。急騰する物価と高水準の金利を受けて年金基金や保険会社はこれまで、数十年にわたって資金を固定化することをためらわせてきた。少なくとも日本以外ではこの動きは終わったように見え、固定利回り資産は復活の兆しを見せている。

それでも投資家らが上昇し続ける債務残高の対GDP比を懸念すべきかどうかは、状況次第だ。正統派の理論が見落としている点の一つは、国内居住者が多額の公的債務を負っていると同時に、税金を通じてそれらの利払いを負担していることだ。家計は、実質的に自分自身が負っている債務の返済を心配する理由はほとんどない。西側諸国の国債発行が拡大するのに伴い、家計が保有する金融資産も増加した。経済協力開発機構(OECD)の統計によると、家計が保有する金融資産の可処分所得比率の平均は1995年に312%だったのが、2023年には561%に達した。

確かに、特に英国のように小規模な開放型経済では、国債保有者がパニックに陥ると揺らぐ可能性は依然ある。しかしながら、過去15年間にわたる中銀による大規模な国債購入は一定の安心感をもたらしている。

金融市場が発達した国では、インフレを過熱させることなく通貨を発行し、国債と交換できる。一方、退職後の生活資金をより多く貯蓄しようとする高齢化社会の到来は、国債需要を比較的好調に保つ一助となるはずだ。

真のリスクは債務残高にかかわらず、過剰な支出がインフレを招く可能性がある点だ。不況や戦争時を除くと西側諸国は史上最大の債務残高を抱えており、各国政府がこれをほとんど抑えられていない。だが、先進国では失業率が悪化傾向にあるため、過熱リスクは大幅に低下している。金利負担は中銀の政策金利をなぞるように、低下が続くはずだ。債務への懸念が薄れれば、英国とフランス、米国に債務削減を迫る圧力も弱まる。

景気減速と低金利は債務危機を招くどころか、むしろ貯蓄増加と国債購入を促すだろう。OECDによると、株価急騰を背景に先進国の一般世帯の金融資産に占める株式保有比率が1999年以来の高水準にある一方、国債の比率は記録的な低水準にある。

どうやら家計の資産ポートフォリオを再び調整すべき時期が来ているようだ。その主な受益者は各国の財政当局となるだろう。


(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

免責事項:本サイトで提供する情報は教育・情報提供を目的としたものであり、金融・投資アドバイスとして解釈されるべきではありません。

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