Patturaja Murugaboopathy
[13日 ロイター] - 米国を除く世界株式ファンドへの資金流入が7月に過去4年半余りで最大となった。経済や株価の割高感、ドル安を巡る懸念を背景に、投資家が米国外に資金を振り向けた。
これらのファンドは今年、トランプ米大統領の経済政策が米国市場の投資妙味を低下させるとの見方から資金が流入していたが、7月の大幅増は、特に金融緩和や成長見通し改善の恩恵を受ける欧州や新興国に投資を分散する動きが続いていることを示唆している。
LSEGリッパーのデータによると、世界株式ファンド(米国を除く)は7月に136億ドルの資金が流入し、2021年12月以来の高水準となった。一方、米国株ファンドからは63億ドルが流出し、3カ月連続の資金流出となった。
シェルトン・キャピタル・マネジメントのデレク・イズエル最高投資責任者は「第2・四半期は関税を巡る緊張緩和が追い風となったが、未解決の貿易交渉や第3・四半期に控える政策期限は継続的なリスクになる」と指摘。
「特に成長率の差が縮小し続けたり、米連邦準備理事会(FRB)が引き締め的な金融政策を維持したりした場合、根強い不確実性によって米国株からの資金流出が再び加速する可能性がある」と述べた。
MSCIアジア太平洋(日本を除く)指数.MIAPJ0000PUSが今年約14%、MSCI欧州指数.dMIEU00000PUSが19%超、それぞれ上昇し、S&P総合500種の7.2%上昇を上回る中、パフォーマンスの差も米国株から資金が流出するもう一つの重要な要因となっている。
さらに、ドルは今年約10%下落し、米国の投資家が海外市場から得るリターンを拡大させている。
SEIのジム・スミギール最高投資責任者は、グローバルな分散投資は引き続き重要な焦点だが、最近の資金フローが持続的な変化を示すかどうかを判断するのは時期尚早だと指摘。
「最近の傾向は米国株アンダーウエートの方針採用というより、地理的な観点から中立的なポジションに戦略的なリバランスを行う動きだとみている」と語った。
MSCI米国指数の12カ月先予想PER(株価収益率)は22.6倍で、MSCIアジア指数の14.4倍、MSCI欧州指数の14.2倍、MSCIワールド指数の19.7倍を大きく上回っている。