Dan Burns
[3日 ロイター] - 第2次トランプ政権発足から間もなく半年を迎える。これまでトランプ大統領が打ち出した移民規制強化や連邦政府職員削減といった政策を通じて、米国の労働市場はさまざまな側面で変容し始めている。
ただ政権が多くの輸入品に関税を課す主な目的として掲げている「製造業雇用復活」の兆しは今のところ乏しい。また全体として雇用の裾野は狭まってきており、企業の間でトランプ氏の政策を巡る不確実性が根強いことがうかがえる。
変化の具体的な側面は次の通り。
◎連邦政府職員
6月は郵便事業を除く米政府の人員が8100人のマイナス。政権始動からの数カ月における政府職員の純減規模は約6万人で、アイゼンハワー大統領以降最大に達した。これに次ぐのはレーガン大統領時代の1981年に記録された5万5000人だ。
夏の終わりには、政権から繰り延べ退職の提案を受け入れた数万人の職員が正式に辞職するため、減少規模はさらに膨らむ公算が大きい。
◎移民
トランプ氏は不法移民の摘発や、数千人の移民の法的資格取り消し、米国で働こうとする外国人の入国制限などに乗り出している。バイデン前大統領の下では、これらの逆の政策が遂行され、雇用全体と労働力人口の伸びにおいて米国生まれの労働者よりも外国生まれの労働者の寄与が場合によっては大きくなる構図を作り出していた。
第2次トランプ政権へ完全に切り替わった今年2月から6月までを見ると、雇用増加分は全て米国生まれの労働者で210万人だった。外国人生まれの雇用はこの間に50万人余り減少しており、これは少なくともオバマ政権の最初の年以降で最も大きな落ち込みだ。
◎製造業
トランプ氏が打ち出した関税措置の主な狙いは、米国の製造業雇用の拡大だ。製造業雇用は長年、企業が中国やメキシコなどに生産拠点を移す中で下降トレンドにあった。第1次トランプ政権時代とコロナ禍で多少持ち直したものの持続性はなく、今年6月の雇用は年初より5000人少ない。前月比でも7000人減り、昨年10月以来の低水準に沈んだ。
◎雇用の裾野
6月の非農業部門雇用は前月比14万7000人増えたとはいえ、けん引するセクターの数は一段と減っている。増えたのは州政府と教育が主体で、ヘルスケアがこれに続いた。民間全体の雇用の伸びは昨年10月以降最も鈍く、特に各種企業調査がトランプ氏の関税措置に起因する先行き不透明感を示す状況に合致し続けている。
250業種を網羅して雇用の広がりの動きを判断する労働省の指数(ディフュージョン・インデックス=DI)を見ると、過去3カ月のうち2カ月で拡大と縮小の節目となる50を割り込んだ。これはつまり、差し引きで採用を減らしている業種が増やしている業種よりやや多く、裾野の縮小が続いていることを意味する。
過去12カ月ベースのDIの平均は2020年8月以降最低で、コロナ禍の序盤を除けば第1次を含めたトランプ政権のどの時期よりも低い。