
[ブリュッセル/ロンドン/オタワ 5日 ロイター] - 欧州連合(EU)と主要7カ国(G7)が、ロシア産原油輸出への価格上限措置から海運輸送の全面禁止へと対応策を強化する協議を進めていると、関係者6人が明らかにした。ロシアのウクライナ侵攻の資金源となっている石油収入を減らす狙い。うち3人によると、海上輸送の禁止措置は、2026年早期に予定されるEUの対ロ制裁パッケージの一部となる可能性がある。2人は、EUは禁止措置をパッケージとして提案する前に、G7の合意を得たい意向だとしている。
ロシアは石油輸出の3分の1以上を、西側のタンカーで輸送している。禁止措置により、EUに加盟するギリシャやキプロス、マルタなどが保有する船隊を通じた取引ができなくなる。残りの約3分の2は、西側の監視外で活動する「影の船団」として知られるタンカーで輸出されている。G7とEUが海運サービスを禁止すれば、ロシアはこうした船団を拡大する必要に迫られ、負担増につながるとみられる。
英国と米国の当局者が、G7の事務レベル協議でこの案を推進している。関係者4人によると、米国はウクライナ和平交渉を踏まえ、どのような圧力手段を選ぶかを最終判断することになる。
G7とEUは22年以降、ロシア産石油の輸入をほぼ完全に停止している。新たな措置では、輸入だけでなく、海上輸送でもロシア産の原油などの取引をほぼ全面的に禁止することになる見込み。
トランプ政権はこれまで価格上限に否定的で、英国やEU、カナダが25年9月に原油価格上限を1バレル当たり60ドルから47.6ドルへの引き下げに合意した際には、支持しなかった。