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〔アングル〕米輸入業者、関税不安で春物商品の注文前倒し

ロイターOct 28, 2025 3:25 AM

Jessica DiNapoli Siddharth Cavale Arriana McLymore

- 米国の大手小売業者向けに商品を供給する中小の輸入業者は中国製のベビーカーや春物商品を急いで仕入れた後、自社の倉庫に保管している。輸入業者は来月にかけて高額な関税が商品に対して課される恐れがあったため、こうした関税の納付を回避しようとしたのだ。

米中両国はクアラルンプールで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の傍らで会談し、トランプ大統領が11月1日から中国から輸入品に100%の関税を課すという脅威は回避された。輸入業者はそれまで、驚くほどの関税負担を覚悟していた。

ウォルマートWMT.N、アマゾンAMZN.O、ターゲットTGT.Nなどで販売される商品を扱う輸入業者はこうした事態に対応して、はけるまでに数カ月かかるかもしれない在庫をバランスシート上に積み上げるリスクを取り、倉庫利用の費用を追加で負担することを選んだ。輸入業者はまた、低所得層の消費者が消費を抑制して景気全般が不安定な状況でも、春の個人消費が持ちこたえるだろうと当て込んでいる。

「春物の注文を前倒ししようとしている」と語るのは、高級ベビーカーメーカーのオーストレン・ベビーのレスリー・スティバ最高経営責任者(CEO)。「できる限りたくさん仕入れた」という。

スティバ氏は2026年の春向けに前年よりベビーカーを20―25%多く発注したと述べた。春は彼女の会社にとって最も売れ行きの伸びる季節だ。トランプ米大統領の貿易紛争が始まって以来、在庫を全体的にそれまでよりも50%多く抱えており、新たな費用負担のために従業員の採用を控えているという。

企業はトランプ関税の揺れ動く税率に先んじようとして、前倒しの仕入れが数カ月前から常態化している。米中両国が関税を6カ月間一時休止した期間中は、中国からの輸入が急増し海運料金や港湾の稼働率が上昇した。

<予定より早く>

一部の中国の供給業者は関税を巡る不確実性を事業計画に織り込んでおり、より落ち着いた見方を示した。

「11月1日に何が起きるかはその時次第だ。何か起きなければ何も起きないのだから」と語るのは、匿名希望の中国南部のある玩具メーカー。

「関税が劇的に上がると考えている人はあまり多くないと思う。(中略)一部の人は3カ月の猶予期間があると見込み前倒しで取引しているかもしれないが、そうしたくても11月1日の期限に間に合わせるのに時間が足りなかった」

ベセント米財務長官は26日、関税の一時休止が11月10日の期限を超えて延長されるだろうとみていると述べた。

中国で魔法瓶を米国に輸出する企業のマネージャー、デン・ジンリン氏はロイターに対して「急ぐ必要はない。ほとんどの商品は既に出荷した。米国向けの貨物は残り20%ほどだ」と語った。

米国の輸入業者全てが出荷を増やしたわけでない。

トランポリンのような大型商品を扱うスプリーテイルは関税が実施されるかどうかを見極めている段階だと、オーウェン・カー商品統括責任者(CMO)は述べた。

暖かい季節向けの衣料品からイースター用バスケットまでの春物商品は通常、年末に米国に到着し、中国の旧正月前に出荷量がピークに達する。

<リスクの軽減>

小売業者は在庫リスクを軽減するため、中国から直接仕入れるよりもむしろ、供給業者の国内の倉庫から商品をより多く注文している、と玩具メーカーのハズブロHAS.OやマテルMAT.Oの幹部は最近の電話会議で述べた。そうすれば関税リスクを緩和し、消費者が財布のひもを締めても在庫の保管ペースを管理できるからだ。

イースター用の卵の装飾器具を中国から輸入するヘイ・バディー・ヘイ・パルは26年春向け商品の50%を既にダラスの倉庫から出荷できる用意が整っていると、共同創業者のカーティス・マクギル氏は述べた。

人工クリスマスツリーや季節の装飾品を扱うバルサムヒルは注文を保留していた春向けの花輪の注文を前倒しで進める決定をしたと、マック・ハーマン最高経営責任者(CEO)は語った。「春向けの注文は規模を縮小した」と述べ、価格を引き上げたと付け加えた。

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