Francesco Guarascio Phuong Nguyen
[ハノイ 27日 ロイター] - 関係者によると、ベトナムの主要タングステン鉱山・精製施設が中国の支配下に入る可能性を欧米諸国が警戒している。
タングステンは弾薬や半導体など、防衛・電子産業に不可欠な希少金属。中国が世界の生産量の大半を占めるが、同国は輸出を規制している。
関係筋によると、中国外で数少ない大規模なタングステン生産拠点であるベトナムのヌイパオ鉱山・精製施設を所有するベトナム企業マサン・ハイテク・マテリアルズMSR.HNOの親会社マサンMSN.HMは資産売却に関心を示している。
これに対し、中国企業2社が外国企業2社に対し代理で権益売却入札に参加するよう働きかけている。中国企業の関与を隠すことが狙いという。
ベトナム政府は過去に重要セクターへの中国の関与を阻止しており、資産売却に反対する可能性がある。ただ、ベトナム政府は中国企業による製造業への大規模な投資を認めているほか、共同鉄道プロジェクトも進めている。
関係筋によると、米国など西側の外交官はここ数カ月で、同鉱山を複数回訪問した。ある当局者は「中国の支配下にない供給拠点を維持することに西側は関心を持っている」と述べた。
ヌイパオ鉱山は、中国以外では最大級のタングステン鉱山の1つ。米地質調査所(USGS)によると、ベトナムは昨年、中国に次ぐ世界2位のタングステン生産国だったが、年間生産量のほぼ全てをこの鉱山で生産している。