米中首脳6年ぶりの会談：「習・トランプ会談」で注目すべき5つの論点
TradingKey - アメリカのドナルド・トランプ大統領が現在行っている「アジア3カ国・5日間」の歴訪の中で、10月30日（木）に予定されている中国の習近平国家主席との会談は、トランプ氏がホワイトハウスに復帰して以来、最も重要かつ注目される外交イベントといえる。 それに先立ち行われた米中貿易協議の進展が、両国首脳会談に向けて楽観的なムードを醸成している。
新華社通信によると、10月25〜26日の2日間にわたる米中経済・貿易協議では、アメリカの対中海運・造船業に関する301条措置、相互関税の停止期間延長、フェンタニル関税および取締協力、農産物取引、輸出規制などの重要分野について率直かつ建設的な意見交換が行われ、双方の関心事項に関する基本的な合意が得られたという。
アメリカ通商代表のグリア氏は「両国首脳による非常に生産的な会談が実現する段階に達した」と述べた。
潜在的な貿易合意の枠組みについて基本的な合意が形成されたことを受け、2019年以来初めてとなる習近平・トランプ両首脳の会談が、米中貿易関係を「限定的に改善」する可能性があると期待されている。 トランプ氏が政権に復帰して以降、両者は2度の電話会談を行い、米中貿易協議はすでに5回にわたって実施されている。
トランプ氏は「非常に包括的な合意に達する自信がある」と述べ、今回の会談で多くの問題を協議する意向を示した。また、「今後も中国やアメリカで、ワシントンやマール・ア・ラーゴで会う予定だ」と付け加えた。
総合的に見ると、今回の韓国での会談では、関税、レアアース輸出規制、フェンタニル関税、大豆取引、そしてTikTok最終合意などが主な議題になるとみられる。
関税は「脅し」に過ぎず
先週末の米中協議に参加した米財務長官ベッセント氏は、今週後半に韓国で行われる習近平・トランプ会談は「非常に良いものになる」と述べた。 ベッセント氏によると、両国は中国によるレアアース輸出規制の実施を延期することで合意し、またトランプ氏が脅しの材料として掲げていた「対中輸入品に100%の関税を課す」措置も回避される見込みだという。 トランプ氏の関税発言は最大の交渉カードであったが、現時点ではその脅威は後退した。
アメリカ側は、両国が今年合意した一連の関税休戦措置の延長についても協議したと明かしている。
BBCは、トランプ氏自身が「対中輸入品への過酷な関税は長期的な解決策ではない」と認めていると報じた。もしアメリカが最大の貿易相手国である中国との経済戦争を本格化させれば、両国はもちろん、世界経済全体に深刻な打撃を与える可能性がある。 実際、米中関係が緊張するたびに米株価指数が急落することが、その明確な証拠だ。
4月以降、トランプ政権は1930年代以来最も高い関税措置を発動しており、5回の協議を経てもなお、中国からの輸入品には55%の関税が課されている。人民日報は「度重なる協議が、両国がデカップリングを望んでいないことを示している」と指摘した。
専門家の分析によると、今回の交渉の成果は短期的に市場にポジティブな影響を与える可能性があるが、貿易休戦が数カ月延長されるに過ぎず、本質的な進展や安定には至らないとみられる。 ブルームバーグ・エコノミクスは「たとえ両首脳が合意文書に署名したとしても、それが市場の長期的な安心材料となるかは不透明」と警告している。米中関係の新たな現実は「頻繁な亀裂と短期的修復」の繰り返しのようだ。
レアアース規制の緩和
レアアース（希土類）は、半導体、電気自動車、軍事装備など現代のハイテク産業や安全保障に不可欠な資源である。 中国はレアアース精製で世界市場の90%を占めており、その完全な産業チェーンは中国の交渉上の最大の武器だ。中国が輸出規制を強化したことが、トランプ氏の100%追加関税発言の直接的な引き金になった。
ベッセント氏は取材に対し、「中国は貿易戦争のエスカレーションを避けるため、レアアース輸出規制を1年延期し、関連措置を再検討する可能性がある」と述べた。
レアアースをめぐる争いは単なる供給問題ではなく、AIや先端製造業をめぐる米中の技術覇権争いでもある。 トランプ政権1期目の時とは異なり、「トランプ2.0」時代の中国は関税の痛みにより強く耐えられるようになっている。一方、アメリカが見つけたレアアース代替供給源は「焼け石に水」といえる規模にとどまる。
大豆購入とフェンタニル関税問題
ベッセント氏は、中国がアメリカ産大豆の購入を再開・拡大することを検討しており、同時にアメリカのフェンタニル危機の解決にも協力する意向を示していると明かした。
中国は世界最大の大豆輸入国であり、大豆はアメリカ農家の生命線だ。中国の輸入削減は、トランプ氏の農村支持基盤にとって脅威となっていた。 商品取引プラットフォームのMarexは「大豆は中国側が譲歩しやすい分野であり、他の重要産業分野でより良い条件を得るための交換材料になり得る」と指摘した。
また、米中両国はマレーシアでの協議でフェンタニル問題も取り上げた。アメリカでは、中国製の前駆体化学品が薬物乱用危機の一因とされており、米国は中国の取り締まり姿勢を批判してきた。 トランプ氏は「会談で最初に取り上げる議題はフェンタニル問題だ」と以前から明言しており、ベッセント氏も「中国は関連化学物質の管理について米国を支援することで合意した」と述べた。
TikTok最終合意の締結
ベッセント氏は、米中両国がすでにマドリードでTikTok関連の協定に合意しており、先週末の第5回協議で詳細を詰め、今週木曜の韓国での首脳会談で最終確認される予定だと述べた。
国家安全保障上の懸念から、米政府はTikTokの米国事業を中国の親会社バイトダンスから分離するよう求め、「売却しなければ禁止」という措置を打ち出している。 これまでトランプ氏はTikTok禁止令を4度延期しており、現行の期限は12月に設定されている。
トランプ氏は先月、TikTokの米国事業の支配権を米国の投資家グループに移す大統領令に署名した。主要投資家の中には、トランプ氏に近いオラクルCEOのラリー・エリソン氏も含まれている。バイトダンスの持分は20%未満に制限される見込みだ。
この取引の規模は約140億ドルに達し、米国および国際投資家が65%の株式を保有するとされている。
アメリカにとってTikTokは、米国発ではない唯一の大規模SNSアプリであり、世界的な電子商取引プラットフォームとしても巨大な存在だ。 米国ユーザーの平均収入は他国の5〜10倍に達し、米国市場だけでバイトダンス全体収益の約半分を占めるとみられている。
経済的利益に加え、最も重要な資産である「アルゴリズム（利用者の嗜好・行動に基づくコンテンツ推薦技術）」を得ることができれば、アメリカは戦略的優位性を手にすることになる。 ただし、専門家の中には「米国が最終的に手に入れるのは、より軽量でローカル化されたTikTokの簡易版にとどまる」との見方もある。
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