
Noriyuki Hirata
[東京 19日 ロイター] - 半導体検査装置大手のアドバンテスト6857.Tがランサムウェア攻撃を受けた可能性を公表した。詳細は明らかになっておらず今後の展開は予断を許さないが、同社は半導体供給の「要」的な存在でもあり、被害の状況次第ではAI(人工知能)相場に冷や水を浴びせかねないリスクもくすぶる。
アドバンテストは19日、社内システムの一部が外部から不正アクセスを受けたと発表した。身代金要求型コンピューターウイルス「ランサムウエア」による攻撃の可能性があるという。15日に社内のIT環境内で異常な動きを検知し、影響を受けたシステムを隔離するとともに、外部の専門機関と連携して調査を始めた。顧客や従業員の情報流出の有無など「影響を確認中」という。
発表を受けた後場の取引でアドバンテスト株は急落。東京エレクトロン8035.Tなど堅調だったほかの半導体関連株もつれて上げ幅を縮める場面があった。市場では「アサヒグループホールディングス2502.Tの(ランサムウエアによる)深刻な被害を目の当たりにしてきただけに、過敏に反応したようだ」(三菱UFJeスマート証券の山田勉マーケットアナリスト)との受け止めが聞かれる。
岩井コスモ証券の斉藤和嘉シニアアナリストは「短期で収束すれば(業績影響は)誤差の範囲だろう」と指摘する。
ただ、アドバンテストは半導体供給網の「要」に位置することから、仮に事態が長期化する場合には、半導体の生産や他社の製造装置の出荷に悪影響が広がるリスクがくすぶりそうだ。
アドバンテストが手掛ける半導体検査装置(テスター)は、完成した半導体が正常に動作するかを最終的に判定する役割を担う。テスターの供給が停滞する場合、半導体を生産しても出荷できなくなる。
焦点となるのは、AI半導体向けのテスターが被害を受け、出荷に影響が及ばないかだ。仮に出荷が停滞しても、現行のAI半導体の生産への影響は限られるとみられている。ただ、それが半年以上など長期に及ぶようなら「次世代のAI半導体の生産には遅れが生じかねない」(斉藤氏)という。
とりわけアドバンテストは、AI相場をけん引してきた米エヌビディアNVDA.O向けの検査装置をほぼ独占しているとみられている。テスターの出荷が遅れれば、次世代製品の生産計画が混乱し、他の装置メーカーからの調達の後ずれといった影響が及ぶリスクがあるという。
現時点では詳細が不明で、続報を待つ必要がある。一方、エヌビディアは25日(日本時間26日早朝)に決算発表、3月にAI技術展示会といったイベントを予定している。三菱UFJeスマート証券の山田氏は、こうしたイベントを通じて「AI相場の足踏みが一巡するかどうかを見極めたい」と話している。