
Samuel Indyk
[ロンドン 16日 ロイター] - 欧州企業の利益が緩やかな景気回復を背景に伸びている。一方で投資家は、高まっているバリュエーションを正当化するには堅調な業績以上のものを求めている。
欧州の時価総額の57%を占める企業がこれまでに決算を発表しており、2025年第4・四半期の平均増益率は3.9%と、LSEGのデータに基づく1.1%減少の見通しを上回っている。
バークレイズの欧州株式ストラテジスト、マゲシュ・クマール・チャンドラセカラン氏は「全体として、特に欧州では1株利益(EPS)の回復が順調に進んでいる」と述べた。
決算から浮かび上がった主なテーマは以下の通り。
<株価上昇ならず>
LSEGによると、これまでのところ企業の60%が利益予想を上回っており、これは通常の四半期の54%と比較すると高い割合だ。
しかし、予想を上回った企業は株価上昇という形でその成果が報われる可能性はそれほど高くないと、アナリストらは指摘する。
ドイツ銀行の欧州株式・クロスアセット担当ストラテジスト、キャロリン・ラーブ氏は「これは現在の高い株価水準が関係している」と指摘。欧州のSTOXX600指数は現在、予想株価収益率(PER)が15.3倍で取引されており、22年1月以来の高水準となっている。
<ユーロ高の影響>
STOXX600は国際的な指数で、収益の約60%を欧州外で生み出している。そのためユーロの持続的な強さは域内企業にとって依然として重要な要素だ。
シュローダーのマルチアセット・インカム部門責任者、ドリアン・キャレル氏は、ユーロの強さは企業が既に織り込み済みだと指摘。「米企業は既にその恩恵を受けており、欧州にとっては逆風となった」と述べた。
<関税の不確実性が後退し現実化>
市場情報プラットフォーム「アルファセンス」の分析によると、トランプ米大統領の貿易政策が市場を揺るがした昨年半ば以降、決算発表で関税に言及する企業の数は急激に減少したが、欧州企業に影響がなかったわけではない。
UBSの欧州株式ストラテジスト、スタニャ・チェッダ氏は「関税の影響が確実に表れ始めている」とし、「一部の企業は関税を消費者に転嫁し、一部の企業は利益率の低下に見舞われている」と語る。
<銀行が依然リード>
ドイツ銀行のラーブ氏によると、銀行セクターがネットベースで予想を上回ったのは12四半期連続。「われわれは依然としてこのセクターを好んでおり、収益環境はまだかなり良好に見える」と話した。
<テクノロジー株のばらつき>
ユーロ圏最大手企業であるオランダのASMLASML.ASと第4位の独SAPSAPG.DEの業績ほど、テクノロジー株のばらつきを浮き彫りにしたものはない。
半導体製造装置メーカーのASMLは、AIインフラ拡充に伴う需要急増を受け売上見通しを上方修正。一方、ソフトウエア企業のSAPは、AIがソフトウエア業界に与える破壊的影響への懸念が高まった決算発表日に株価が16%急落した。
シュローダーのキャレル氏は「半導体企業は最近、ソフトウエア企業を大きく上回っている」と指摘。「われわれの哲学は期待値とバリュエーションが低い分野を探すことだ」と述べ、ソフトウエアがハードウエアよりも割安になっている現状は「やや行き過ぎている可能性がある」と付け加えた。