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〔GRAPHIC〕AIによる事業代替懸念、ソフトウエア以外の幅広い業種に波及

ロイターFeb 16, 2026 3:21 AM

Medha Singh Sruthi Shankar

- 米株式市場は、人工知能(AI)が既存の事業に置き換わるのではないかとの不安に支配されている。当初投資家による投げ売りの対象になったのはソフトウエア株だったが、その後は自動化の影響に弱そうなセクターが幅広く下落。プライベート・クレジットや不動産仲介、データ分析、法務サービス、保険にも売りが波及した。

市場に懸念をもたらしたきっかけは、対話型AI「クロード」を手がけるアンソロピックがAIエージェントの法務処理のための追加ツールを発表したことだ。ただ続いてAIモデルの刷新や新モデル登場が相次いだため、投資家の心配が加速した。

バークレイズの株式ストラテジスト、エマニュアル・カウ氏は「市場心理が恐怖に突き動かされており、投資家は『まず売ってから考える』モードに入り、『次は誰(が売りの対象)か』を問い続けている」と述べ、一見するとAIとは距離が遠そうな業種や銘柄も容赦なく「負け組」と判別していると付け加えた。

影響を受けているセクターは以下の通り。

◎ソフトウエアとソフト業界向けの貸し手

S&P500ソフトウエア・サービス指数.SPLRCISは2025年10月の直近高値から時価総額約2兆ドルが消失。この半分は、AIツールが伝統的なサブスクリプションや法人向けソフトの事業モデルを破壊するとの懸念が浮上した過去2週間で生じた。

ナスダック100銘柄で年初来の下げが最もきついのはアトラシアンTEAM.O(下落率47%)、インテュイットINTU.O(同40%)、ワークデイWDAY.O(同33%)などだ。

セールスフォースTEAM.Oは約30%、アドビADBE.Oは25%、クラウドストライクCRWD.Oは12%それぞれ下落した。

ダコタ・ウエルスのシニア・ポートフォリオマネジャー、ロバート・パブリク氏は「AIが何らかの形で近々既存(事業)モデル、つまり多年にわたって当該企業が力強い利益を確保してきたモデルに取って代わるとの見方がある」と指摘した。

過去3年余りで最悪となったこうしたソフトウエア業種の値下がりは、そこに資金を貸し付け、ソフトウエア企業と絡むレバレッジを有するオルタナティブ投資会社の株価にも打撃を与えた。

アレス.SPLRCIS、ブラックストーンBX.N、ブルー・アウルBX.N、アポロAPO.N、TPGTPG.O、KKRKKR.Nなどは年初来の下落率が13-24%となった。

BNPパリバの試算では、プライベート・クレジットは与信全体のおよそ2割がソフトウエア業種向けだ。

◎金融・データ分析・法務サービス

金融業界、とりわけ証券ブローカーとデータ分析は、資産運用のアルトルイストがAIプラットフォームの追加機能として税務戦略ツールを導入したことで、売りを浴びた。やはり事業モデルが代替される恐れがあるとみられたためだ。

証券ブローカーのLPLファイナンシャルLPLA.O、レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャルRJF.N、チャールズ・シュワブKKR.Nなどが10日に7%余り下げた。

指数提供のS&PグローバルSPGI.Nは今月に入って25%強下落し、09年以降で最悪の月間パフォーマンスになろうとしている。ムーディーズMCO.N、ファクトセット・リサーチFDS.N、MSCIMSCI.Nも今月軒並み急落した。

ナスダック上場のトムソン・ロイターTRI.Oは、AIが同社の法務サービスに痛手を与えるとの見方から、一時約5年ぶりの安値に沈んだ。

◎不動産サービス

商業不動産や資産運用などの業種は11日に売り込まれた。KBWのアナリストチームは、高い手数料を設定し、労働集約的な事業はAI主導の変革に対して脆弱だとして投資家が物色対象から除外したためだと分析した。

CBRECBRE.Nとジョーンズ・ラング・ラサールJLL.Nは11日にいずれも12%前後下落。クシュマン・アンド・ウェークフィールドCWK.Nは14%近く、アパートメンツ・ドット・コムとホームズ・ドット・コムを所有するコスター・グループCSGP.Oは5.9%下げた。

◎保険

欧米双方の保険株も強い逆風に見舞われた。オンラインプラットフォームのインシュリファイが9日、対話型AI「チャットGPT」上でユーザーが自動車保険料を比較できるツールを発表したことが響いた。

S&P500保険指数.SPXINは9日に3.9%安と、1日としては25年10月半ば以来の下落率を記録した。

9日からの週で保険ブローカーのウィリス・タワーズ・ワトソンWTW.Oは15%安。エーオンAON.Nは9%安、アーサー・J・ギャラガーAJG.Nは15%安だった。

モルガン・スタンレーの株式ストラテジスト、ボブ・ジャン・フアン氏は「最終的に保険ブローカーは二極化するとわれわれは考えている。定期生命保険、個人自動車保険、住宅保険などより単純な仕組みの保険商品は今後5年で、AIによる大きな破壊的変革を経験する可能性がある。(一方で)高付加価値のブローカーは、AIによって代替されず、分析を強化して引き受けを改善するため逆にAIを活用する」と述べた。

◎トラック輸送・物流

市場参加者は恐らく、トラック輸送や物流関連の企業はAIの対象とみなしていなかったが、これらの業種も12日に株価が急落した。

以前はカラオケ機器を販売していたAI物流企業アルゴリズム・ホールディングスRIME.Oは、物流最適化プラットフォーム「セミキャブ」が、人員増強なしで従来の3倍から4倍の顧客貨物取り扱いができると表明。ランドスター・システムLSTR.OやC・H・ロビンソンCHRW.Oといった銘柄が売られ、ダウ運輸株平均.DJTは4.4%下落した。

ただジェフリーズのアナリストチームは、このような値動きはファンダメンタルズと乖離していると主張。「独自の貨物データと物理的なネットワークは依然として強固な参入障壁だ」と説明した。

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