Nora Eckert Nathan Gomes
[デトロイト 30日 ロイター] - 米フォード・モーターF.N は30日、トランプ政権の関税措置が通期業績に及ぼすマイナス効果の予想上限を従来の25億ドルから30億ドルに引き上げた。株価は時間外取引で一時約3%下落した。
シェリー・ハウス最高財務責任者(CFO)は引き上げの理由として、メキシコとカナダに対する関税、および鉄鋼・アルミニウム関税の高止まりを挙げた。
第2・四半期の関税コストは8億ドル。米国販売車のおよそ8割を国内生産している強みがあるため、ゼネラル・モーターズ(GM)GM.Nなど競合他社に比べると痛手は小さかった。
ジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は、ホワイトハウスとは連日のように折衝を続けており、特に部品関税のコスト軽減を目指していると説明。「政権との交渉次第では大きな上がり目がある」と強調した。
公表を停止していた通期利益見通しも再開。調整後EBIT(利払い・税引き前利益)は65億─75億ドルと2月時点の予想(70億─85億ドル)から下方修正された。
第2・四半期1株利益は前年同期比21%減の0.37ドルで、LSEGがまとめたアナリスト予想の0.33ドルを上回った。最終損益はリコール対応などの特別損失計上が響き、3600万ドルの赤字だった。
売上高は5%増の502億ドル。「頭金ゼロ、金利2年間ゼロ、当初90日間のローン返済ゼロ」というキャンペーンを打ち出し、市場シェアを回復した。
CFRAリサーチのアナリスト、ガレット・ネルソン氏は「相当良好な売上高状況はフォードの価格決定力を証明しているが、利益率の圧縮からは基調的なコスト圧力がなお問題になっている様子がうかがえる」と指摘した。
第2・四半期の電気自動車・ソフトウエア部門は13億ドルの営業赤字で、通期では最大55億ドルの赤字が見込まれている。