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〔焦点〕米食品大手、肥満薬普及で戦略転換 原材料見直しや小型化も

ロイターFeb 19, 2026 4:10 AM

Sriparna Roy Juveria Tabassum

- 米ペプシコPEP.Oや米コカ・コーラKO.Nなどの食品・飲食大手は今年、原材料の見直しとパッケージの小型化に注力している。食欲抑制効果のある「GLP―1受容体作動薬」を利用して減量に励む人が増えているためだ。

これまで静観していた企業も、GLP―1の普及は今後も定着すると考えるようになった。LSEGのデータによると、今年これまでにヘルスケア業界以外の約36社が、決算発表時の電話会議でGLP―1薬や減量に言及した。1年前の14社、2年前のわずか5社から急増している。

EYパーセノンの推計によると、GLP―1薬の服用に伴う食習慣の変化により、今後10年間でスナック菓子の売り上げは最大120億ドル失われる可能性がある。PwCの分析では、主に糖尿病や肥満症に処方されるGLP―1薬の普及率は、昨年12月までの1年間で2倍以上に跳ね上がった。現在、米国の世帯の約20%に、少なくとも1人の利用者がいる。

マグナム・アイスクリームのピーター・ター・クルベ最高経営責任者(CEO)は、GLP―1の利用者が嗜好品の摂取をやめるわけではないが「無意識のダラダラ食いやドカ食いは劇的に減少している」と言う。

コカ・コーラの次期CEOは先週のアナリスト向け決算電話会議で、より迅速な商品刷新を促すと表明。クラフト・ハインツKHC.Oの新CEOは、計画していた会社分割を撤回し、代わりにハム事業などの再生に今年6億ドルを投じると発表した。

<需要が一変>

LSEGのデータによると、大半の大手食品企業は今年、設備投資を増やす見通しで、特に米ゼネラル・ミルズGIS.Nは前年比で最大23%もの急増が予想されている。

ペプシコはスナック菓子を刷新するために「シンプリーNKD」という新たな商品ラインを始動し、主力ブランドの「ゲータレード」などで合成着色料の使用をやめるリブランディングを進めている。

ラモン・ラグアルタCEOは18日のイベントで、米国向けブランド2種類に「ミニミール(少量版)」を試験導入すると発表した。CEOは今月の決算電話会議でGLP―1について「脅威もあるが、それを上回るチャンスをもたらすだろう」と述べている。

コカ・コーラは昨年末、需要が急増しているタンパク質強化ミルク「フェアライフ」の増産に踏み切った。ゼネラル・ミルズは2024年12月、シリアル「チェリオス」の高タンパク質版を投入した。

ゼネラル・ミルズのジェフリー・ハーメニングCEOは17日のイベントで「GLP―1その他の肥満症治療薬は、食品と栄養のあり方に永続的な影響を与えると予想している。消費者は、より少量で、タンパク質や食物繊維を中心とした栄養密度の高い食品に向かうだろう」と語った。

<研究開発に全力投資>

事業再生支援などを手掛けるポーテッジ・ポイント・パートナーズのマネジング・ディレクター、ピーター・マンガン氏は「このトレンドに対して研究開発費を投じて商品設計をしていない企業は存在しない」と言う。

中小企業も事業機会に目をつけている。家庭向けに食品セットを毎日提供する非公開企業スナップ・キッチンのミッチェル・ライシュCEOは、高食物繊維、低脂肪、高タンパク質で、満腹感を促進する成分を含むメニューの拡充に投資したと説明。「GLP―1という好機によって、我々の焦点はより絞られ、製品開発計画が加速した」と語った。

PwCが消費者調査企業ニューメレーターのデータを分析したところ、GLP―1薬利用者のカロリー摂取は平均40%も減っていることが分かった。デザート消費は84%、アルコール消費は33%、それぞれ減少した半面、生鮮食品の摂取量は70%超も増加した。食品購入は家族で4―6%、単身世帯では最大9%の減少が記録されている。

PwCの米消費者市場責任者、アリ・ファーマン氏は「こうした生理学的変化がもたらす波及効果は、まだ表面化し始めたばかりだ」と語った。

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