次期FRB議長をめぐる争い：ウォーラーは学界から高評価、トランプ氏はハセットを「本命視」か

TradingKey ― FRBが9月に利下げを再開した後、次期FRB議長、すなわちパウエル議長の後任をめぐる予想市場での賭けが微妙に変化し、主要候補者の当選確率は月初よりも接近している。英フィナンシャル・タイムズの最新調査によると、多くの経済学者はウォーラー氏を議長候補として支持している一方で、トランプ氏が最も好むのは「MAGA」色の強いハセット氏である可能性が高い。

シカゴ大学がフィナンシャル・タイムズのために実施した調査では、回答した経済学者の82％が現FRB理事クリストファー・ウォーラーを「世界で最も重要な中央銀行」であるFRBの議長に最適な人物と見ている。しかし、実際に来年パウエル議長の後任となる可能性があると答えたのはわずか5分の1にとどまった。

一方で、回答者の39％は現ホワイトハウス国家経済会議（NEC）委員長ケビン・ハセットが議長になると予想しており、主要候補の中ではトップの割合となった。

トランプ政権が検討しているFRB議長候補は最大で11人に上り、その中からトランプ大統領はかつて元FRB理事ケビン・ウォッシュ、ハセット、ウォーラーの「3人リスト」に絞り込んでいた。トランプ氏とベセント財務長官は、利下げにより積極的なFRBトップを探したいと明言している。

「3人リスト」やベセント財務長官、新FRB理事ミランを含む5人の「最有力候補」に関する調査では、「あなたが最も支持する候補は誰か」との問いに対して、経済学者の支持はウォーラー氏に圧倒的に集中し、次点はウォッシュ氏とベセント氏で、ハセット氏とミラン氏には一票も入らなかった。

「誰が実際にFRB議長になる可能性が最も高いか」という問いでは、ハセット氏の支持率はミラン氏やウォーラー氏のほぼ2倍となり、ウォッシュ氏とベセント氏はその後に続いた。

【経済学者による次期FRB議長候補に関する調査結果、出典：フィナンシャル・タイムズ】

学界が推す候補と実際に当選する可能性の高い候補との差は、専門性と政治的要素、すなわち「専門性と忠誠心のせめぎ合い」を映し出しており、FRBの独立性に対する一つの挑戦とも言える。

ウォーラー氏は7月のFOMCでわずか2票の反対票を投じたが、9月会合では25bpの利下げという基本コンセンサスを支持した。

ジョンズ・ホプキンス大学のロバート・バーベラ氏は「ウォーラー氏はまるで中央銀行の総裁のように見える。FRB議長職を得るためにひざまずくような人物ではない。それが彼がこの職に就けない理由だ」と語った。

誰もミラン氏が次期議長になることを望んでいないが、実際の当選確率はなお20％ある。ミラン氏はトランプ氏にとってFRB内部の「身内」とみなされており、9月会合では50bpの大幅利下げを支持したほか、年内さらに125bpの利下げを公然と支持している。

経済学者の予想は、最大のオンライン賭け市場「Polymarket」での投資家のベッティング動向とも類似している。9月29日時点で、ウォーラー、ハセット、ウォッシュ、ミランが最終的にトランプ氏によりFRB議長に任命される確率は、それぞれ26％、23％、20％、14.9％となっている。

【主要FRB議長候補の当選確率ベッティング、出典：Polymarket】

明らかなのは、学界でより支持の厚いウォーラー氏が依然としてリードしているものの、4人の当選確率は接近しつつあり、FRBがトランプ氏の強い圧力を受けている現状を反映している、という点である。

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