Wen-Yee Lee
[台北 18日 ロイター] - 米アップルAAPL.Oのスマートフォン「iPhone」の組み立てを担う受託製造業者として一躍世界的な存在になった台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)2317.TWは、人工知能(AI)ブームに乗って収益源の多角化に成功し、今は主要事業が対アップル以外の取引になったと言える段階に達した。
鴻海の事業がiPhoneに依存している構造は、長らく投資家には大きなリスクと受け止められてきた。iPhoneの新型商品に対する需要が次第に弱まっており、それに伴って鴻海の受託製造収入が鈍化すると懸念されたからだ。
こうした事態を踏まえ、鴻海の劉揚偉会長は2019年の就任以来、AIサーバーや電気自動車(EV)、半導体などの新規事業を推進。EVと半導体はまだ同社の重要な収益源になっていないものの、AIサーバー製造事業は順調に伸びて米半導体大手エヌビディアNVDA.Oの最大のサーバーサプライヤーになっている。
第2・四半期の売上高における事業構成比率を見ると、iPhoneを含めた消費電子機器部門は全体の35%、AIサーバーなどのクラウド・ネットワーキング部門は41%と、初めて後者が前者を上回った。2021年時点では、消費電子機器部門の比率は54%だった。
AIサーバー事業の成長について複数のアナリストは、生成AI「チャットGPT」が登場してこの分野の技術に注目が集まった2022年終盤よりもずっと前から、鴻海がエヌビディアやその他の主要AI関連企業との関係構築に取り組んできたことが実を結んだとの見方を示した。
TFインターナショナル・セキュリティーズのアナリスト、ミン・チ・クオ氏は「鴻海は何年もの間、AI事業にかかわってより高い品質基準を達成し、各拠点に組み立てや製造工程を分散させ、垂直統合を追求してきた」と指摘した。
鴻海によると、同社は現在一般目的向けとAI向けのサーバー双方で世界最大のサプライヤーの一角を占め、それぞれの市場シェアは40%近くを確保しているという。
同社は第3・四半期のAIサーバー売上高が前年比で170%超増えると見込んでいる。