Fanny Potkin Karen Freifeld Jun Yuan Yong
[シンガポール/ニューヨーク 13日 ロイター] - 中国へ不正輸出される恐れがある一部の先端半導体チップの出荷品に、米当局が極秘に位置追跡装置を設置していることが関係者の話で明らかになった。
米国の輸出規制対象国へ横流しされる可能性のある人工知能(AI)チップを検知することが目的で、調査対象として選ばれた特定の出荷品にのみ適用されると語った。
位置追跡装置は航空機部品など輸出規制対象製品を追跡するために米国の捜査機関が数十年前から使用している。近年では半導体の横流しを取り締まるためにも用いられているという。
AIサーバーのサプライチェーンに関わる複数の関係者は、デルDELL.NやスーパーマイクロSMCI.Oなどのサーバー出荷に追跡装置が使用されていると明らかにした。これらのサーバーにはエヌビディアNVDA.OやAMDAMD.Oの半導体が搭載されている。
関係者らによると、追跡装置は通常サーバーの梱包の中に隠されている。誰が装置の設置に関与し、輸送経路のどの地点で仕掛けられたのかは不明という。
サーバーのサプライチェーンに関わる2人の関係者は、2024年にエヌビディアのチップを搭載したデル製サーバーの出荷の際に、大型の追跡装置が配送ボックスに取り付けられていたほか、梱包の内側とサーバー自体に小型で目立たないデバイスが隠されていたと明かした。
3人目の関係者は、チップ再販業者がデルやスーパーマイクロのサーバーから追跡装置を取り外している画像や動画を見たことがあると話した。大型の追跡装置の中にはスマートフォンほどの大きさのものもあったと指摘した。
関係者らによると、追跡装置の設置には通常、輸出管理と執行を監督する米商務省の産業安全保障局が関与しているが、国土安全保障省捜査局(HSI)や連邦捜査局(FBI)もかかわっている可能性がある。