Patturaja Murugaboopathy Jaspreet Kalra
[21日 ロイター] - アナリストらは過去2週間、インド企業の利益見通しを引き下げており、下方修正率はアジアで最も大きくなっている。トランプ米大統領がインドに対する関税引き上げを表明したことなどが要因。
LSEG・IBESのデータによると、インドの大手および中規模企業の向こう12カ月間の利益見通しは、過去2週間で1.2%引き下げられた。これはアジアの中でも最も大きな引き下げだ。
インド上場企業の業績は昨年から数四半期にわたって低迷し、株価指数を圧迫している。
インド経済は内需が中心で、NSE指数.NSEIを構成する50社の売上高における米国売上高の比率は9%にすぎない。それでも、米国がインドからの輸入関税を最大50%に引き上げる方針を示したことは経済成長にリスクをもたらしている。
MUFGのアナリストらは、50%の関税が維持されればインドの国内総生産(GDP)成長率は1%ポイント押し下げられ、繊維など労働集約型産業が最大の影響を被ると指摘している。
米国との貿易摩擦が高まる中、モディ首相は最近、国内消費のてこ入れを目指して抜本的な税制改革を発表した。
JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバルマーケットストラテジスト、ライシャ・ラシド氏は、インド株のバリュエーションは依然割高で、「関税をきっかけに幅広いバリュエーションの下方修正が起こるとともに、一部の内需型銘柄が魅力的になる可能性がある」と述べた。
インド企業の増益率は2020―21年と2023―24年は15ないし25%だったが、過去5カ月連続で1桁台にとどまっている。
25年4―6月期の決算発表後、自動車、自動車部品、資本財、食品、飲料、消費者向け耐久財といったセクターでは今後12カ月間の純利益予想がそれぞれ1%かそれ以上引き下げられた。
ただ、政府が計画する消費税減税はGDP成長率を押し上げると期待されている。スタンダード・チャータードのエコノミストらは、27年度(26年4月―27年3月)の利益が0.35―0.45%ポイント押し上げられると予想した。
インドの実質GDP成長率は22年度から24年度にかけて年率平均8.8%と、アジア太平洋地域で最も高かった。だが、今後3年間は年率6.8%への減速が予想されている。
バンク・オブ・アメリカが実施している資産運用会社の調査では、わずか2カ月前にアジアで最も好ましい株式市場とされていたインドが、直近調査では最も不人気な市場に転落した。
ソシエテ・ジェネラルのアジア株ストラテジスト、ラジャット・アガルワル氏は「2024年の増益率がわずか6%で失望を誘ったのに続き、経済成長と企業利益の両面から見て25年も回復ペースが鈍いようだ」と指摘した。