米国株式市場はまちまちの展開となった。S&P 500は0.3%上昇した一方、ナスダックは0.17%下落、ダウは0.42%下落した。地政学的緊張を背景にエネルギーセクターが上昇を牽引した。テクノロジー、素材、資本財は下落し、生活必需品は上昇した。Fedは金利を据え置いた。第4四半期の決算シーズンは強弱が入り混じり、メガキャップ・テック企業の決算が投資家心理に影響を与えた。中小型株やバリュー株へのローテーションが観察された。今後の雇用統計とインフレデータが主要な材料となる。
先週の市場回顧と分析
• マクロ経済情勢:
連邦準備制度(Fed)は1月の会合で、広く予想されていた通り、政策金利を3.50%~3.75%に据え置いた。パウエル議長は、据え置きを示唆しつつも、2026年後半の利下げの可能性は残した。インフレデータは強弱入り混じる内容となった。12月の卸売物価指数(PPI)は予想を上回り、コアPPIは前月比0.7%上昇した。しかし、2月の米年間インフレ率は2.8%で比較的安定しており、コア価格は前月比0.2%増、前年同月比3.1%増であった。労働市場は低調な見通しを示し、12月の雇用統計では5万人の伸びにとどまり、過去数ヶ月分も7万6,000人下方修正された。失業率は4.4%に微低下した。12月の米求人件数は650万件に減少し、5年以上ぶりの低水準となった。消費者心理は大幅に悪化し、消費者信頼感指数は12月の94.2から1月の84.5に低下した。一方、ミシガン大学消費者信頼感指数の2月速報値は、現況指数の改善により0.9ポイント上昇し57.3となったが、株式を保有しない消費者のマインドは停滞した。イランを巡る地政学的緊張も市場に影響を与えた。
• 市場パフォーマンスの概要:
先週の米国株式市場はまちまちの展開となった。S&P 500は、2月2日(月)に0.5%上昇して3日続落を止め、週間で約0.3%のわずかな上昇となり、6940で引けた。対照的に、ナスダック総合指数は週間で0.17%下落し、特に2月2日(金)には0.9%下落した。ダウ工業株30種平均は0.42%下落した。セクター別では、イラン情勢を受けてエネルギーがアウトパフォームした。しかし、2月2日(金)にはテクノロジー、素材、資本財が下落した一方、生活必需品は1.4%上昇した。週後半にはソフトウェア企業の決算を巡る懸念も市場下落の一因となった。資本財、エネルギー、消費関連セクターが恩恵を受ける中、中小型株やバ慮ー株への明確なローテーションが見られた。
• 主要イベント分析:
Fedの金利据え置き決定は中心的なイベントであったが、米株式市場への即時の影響は限定的であった。第4四半期の企業決算シーズンが本格化しており、S&P 500採用企業の約3分の1が決算を発表した。75%がEPS予想を上回り、65%が売上高予想を上回ったことで、前年同期比12%の増益に寄与した。しかし、メガキャップ・テック企業の失望的な決算が投資家を不安にさせ、木曜日のナスダックに影響を与えた。特にマイクロソフトは、利益予想を上回ったものの、クラウド成長とAI支出への懸念から下落した。一方でメタは、好決算とAI投資のガイダンス引き上げを受けて急騰した。重要な政策展開として、トランプ大統領が次期Fed議長にケビン・ウォーシュ氏を指名したことが挙げられる。これにより金融政策の見通しが再評価され、米国債利回りの上昇を招いた。この指名は、将来の利下げに対してより慎重なアプローチを取る可能性を示唆するものと受け止められた。1月の雇用統計は政府機関閉鎖の影響で大幅に遅れた。
• 資金流出入とセンチメント:
市場心理は複数の要因が混在した影響を受けた。CBOEボラティリティ指数(VIX)は2月2日(金)に3.3%上昇して17.44となり、恐怖心の高まりを示した。金と銀の価格は、ケビン・ウォーシュ氏の指名後、米国債利回りの上昇とドル高を受けて大幅な下落圧力にさらされた。金先物は11%以上下落し、銀先物は31%以上急落した。金は2月2日(月)に一時1オンス4,500ドルを割り込んだ。1月の消費者心理は全体として悪化したが、ミシガン大学の2月のデータでは現況の改善が認められた。
• 総合評価:
先週は、まちまちの企業決算、上昇する米国債利回り、そして新たに指名されたFed議長を巡る不確実性の中、投資家が舵取りを迫られる不安定な相場展開となった。市場はハイベータ株から利回り・バリュー株へとシフトする論理を示しており、AI投資から利益を生み出す企業の能力に対する選別が強まっている。
次週の主要な市場材料と投資展望
• 今後のイベント:
来週は、2月10日(火)の2025年第4四半期雇用コスト指数、2025年12月の米輸出入物価指数など、いくつかの主要な経済指標の発表が控えている。遅延していた2026年1月の雇用統計(平均時給、非農業部門雇用者数、失業率を含む)は、2月11日(水)に予定されている。2026年1月の消費者物価指数(CPI)と実質賃金は2月13日(金)に発表される予定である。スティーブン・ミラン理事やフィリップ・ジェファーソン副議長を含む、複数のFed高官の発言も週を通じて予定されている。また、2月10日(火)には多くの企業決算発表が予定されている。
• 市場の論理的予測:
市場の関心は、遅延していた1月の雇用統計と今後のインフレデータに集中するだろう。これらは米経済の健全性とFedの潜在的な政策経路をより明確にする。新Fed議長の指名による影響と、それが金融政策の見通しに与える影響は、引き続き重要な要因となるだろう。成長株から中小型株やバリュー株へのローテーションが継続し、資本財、エネルギー、消費関連セクターがより多くの資金を引きつける可能性があると予想する。
• 戦略とアセットアロケーションの推奨:
当委員会は、バリューよりもグロース、中小型よりも大型のセグメントを好む姿勢を維持しつつ、通信サービス、ヘルスケア、資本財、テクノロジーセクターへの配分増の可能性を注視している。債券については、コア債券をニュートラルとし、投資適格社債よりも住宅ローン担保証券(MBS)を選好することを推奨する。
• リスクアラート:
注目すべき主なリスクには、継続的な金利の不確実性、地政学的な火種(特にイラン関連)、および成熟しつつあるAI投資サイクルに伴う課題が含まれる。政府機関閉鎖の解決の遅れと、それが今後のデータ発表に与える潜在的な影響も懸念材料である。新Fed議長候補の下でのよりタカ派的な金利姿勢の可能性は、さらなる市場の変動を招く可能性がある。
電子機器・部品セクターは7.25%急騰した。これは主に、Amazon、Meta、Alphabet、Microsoftといったテック大手による大規模なAI関連投資が牽引したもので、データセンター、チップ、ソフトウェアに数十億ドルが投じられた。これにより、アジアの半導体を中心とした堅調なテクノロジー関連の輸出と、コンピュータ・電子製品製造の広範な拡大が促された。 政府活動は6.83%増加した。これは、GDP成長を支える政府支出の増加や、エネルギー安全保障を強調する地政学的な断片化に対応した国防およびインフラ支出の増加によるものである。重要鉱物の備蓄を含む政策に裏打ちされた投資も寄与した。 金融テクノロジー(フィンテック)およびインフラは6.60%上昇した。これはAIインフラへの多額のテクノロジー支出によって推進された。上場インフラ株式は、地政学的な断片化、新興市場の成長、低炭素移行による強い潜在需要があるにもかかわらず、割安な水準にあると見られる。インフレの沈静化と緩やかな金融緩和が進む中、資本は弾力性のあるデジタルインフラへとシフトしている。
先週、ARM、GSK、MCKは、主に強力な個別銘柄の材料によって大幅な株価上昇を記録した。ARMの15.68%の急騰は、好調な半導体業界の中でAIとデータセンターの需要に支えられた、売上高26%増、ロイヤリティ収入27%増という堅調な2026年度第3四半期決算を受けたものである。GSKは、2025年度の予想を上回る決算、楽観的な2026年のガイダンス、およびスペシャリティ医薬品の好調なパフォーマンスにより14.79%上昇し、継続的な薬価政策の議論の中でもディフェンシブ銘柄としての地位を確立した。MCKの12.07%の上昇は、処方薬のボリューム増加とオンコロジー製品の流通に支えられ、2026年度第3四半期の利益予想を上回り、2026年度のEPSガイダンスを引き上げたことによる。広範な経済政策の転換や地政学的緊張が市場の背景として混在していたが、これらの企業は強力な内部パフォーマンスと良好な業界トレンドの恩恵を受けた。