Jamie McGeever
[フロリダ州オーランド 3月25日 ロイター] - 市場はオーバーシュートしており、中東のエネルギー・ショックを受けて金利上昇に賭ける動きが劇的に急増しているのは、その最新の事例である。その動きは論理的かもしれないが、その規模には疑問がある。
中央銀行がここ数年で最も忙しかった1週間が終わったが、イラン戦争((link))は終わる気配がなく、市場は流動的なままだ。金利トレーダーは一息ついて再評価する時期かもしれない 。
世界的な金利見通しの突然の変化は、原油・ガス価格の高騰がインフレに与える当面の影響に対する懸念を反映していることは明らかだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は今年、利下げよりも利上げに踏み切る可能性が高くなり、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(BOE)は、早ければ来月から複数回の利上げに踏み切ると予想されている。
欧州の変化は注目に値する。
米国とイスラエルが共同でイランを攻撃する前日の2月27日、英国の金利先物は年末までに50ベーシスポイントの緩和、つまり2回の4分の1ポイントの利下げを予想していた。それが現在、75ベーシスポイント近い引き締め、つまり3回の利上げに転じている。
数 週間で125ベーシスポイントの変動は異常だ。
一方、ユーロ圏の金利先物は、ECBが今年いっぱいは主要政策金利を2%に据え置くとの見方から、2回の利上げを織り込んでいる。
このタカ派的な軌道は実現する可能性がある。政策担当者は2021─22年にかけての「一過性」インフレを読み違えた傷跡がまだ残っている。しかし、過去2回(08年と11年)、原油が1バレル=100ドルを大きく上回っているときに利上げを実施した際には、政策ミスが広く非難された。
22年との比較の限界
多くのアナリストは、22年2月のロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギー・ショックと現在のインフレの類似性を指摘している。
しかし、重要な違いがある。
金利は22年2月当時よりも大幅に上昇している。当時、G4中央銀行の政策金利はゼロ金利に近く、ECBと日本銀行はマイナス圏にあった。
さらに、22年のインフレは、何兆ドルものパンデミック対策刺激策と、閉鎖解除後の経済活動の爆発によってもたらされていた 。22年初頭の実質金利は大幅なマイナスだった。
超緩和的な財政・金融政策の組み合わせは、インフレが一過性のものでないことを意味した。米国では、過去40年間で最も積極的な利上げサイクルが実施されたにもかかわらず、インフレ率はいまだ目標値に戻っていない。
ワシントンから東京、ベルリンに至るまで、各国政府は国防とエネルギーに多額の支出をする一方、減税を行う予定だ。しかし、GDPの少なくとも10%に相当するパンデミック対策ほどの規模にはならないだろう。
ゴールドマンとシティは米利下げ観測を堅持
ゴールドマン・サックスとシティのエコノミストは、予想修正とFRBに利上げで物価上昇の芽を摘むよう求める声の高まりに抗している。
ゴールドマンのヤン・ハツィウスとそのチームは、FRBの利下げを今年中に2回と予想しており、シティのアンドリュー・ホレンホーストとそのチームは、3回の利下げを支持している。
彼らは、インフレの急騰は数カ月程度の短期的なものであり、成長と雇用の下振れリスクはより深刻であると主張している。要するに、一時的な供給ショックが物価を上昇させるが、需要にはより永続的な打撃を与えると予測しているのだ。
そうなる可能性があると考える理由はすでにある。火曜日に発表された購買担当者景況指数によると、3月の米民間企業の生産高は11カ月ぶりの低水準に落ち込み、ユーロ圏全体の生産高は10カ月ぶりの低水準に落ち込み、英国の生産高は過去6カ月で最も遅いペースで拡大した。
エネルギー価格ショックのスピードと大きさを考えれば、金利市場が神経質になるのは当然だ。それでも、米英のようにインフレ率が目標を上回っていても、成長が鈍化し失業率が上昇していれば、利上げを正当化するのは難しいだろう。
(ここで述べられている意見は、ロイターのコラムニスト、ジェイミー・マクギーバー (link) のものである。)
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