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COLUMN-原油100ドルでも米国の消費が腰折れしない理由

ロイターMar 24, 2026 3:21 AM

Jamie McGeever

- 高い石油価格を好感する人など存在しないだろう。自動車の運転、支出、エネルギー集約的な経済活動がこれほど大規模に行われている米国ではなおさらだ。だが、そうした不安とは裏腹に、平均的な米国の消費者は現在、原油価格が1バレル当たり100ドルに高騰した状況に、かつてなかったほどうまく対応する備えができている。

米国の家計は名目上、これまでで最も裕福だ。相対的に見ても、これほど裕福だったことは滅多にない。失業率が歴史的な低水準で推移しているほか、恐らく最も重要なことに、家計消費に占めるガソリンとエネルギーの比率が歴史的な低さになっている。

2月28日の米国とイスラエルによるイランへの攻撃開始以降、米国株が世界の主要株式市場をアウトパフォームしている理由は、これで説明できるかもしれない。

ホルムズ海峡は事実上封鎖され、ここ数十年で最悪となるエネルギー供給ショックが起きた。S&P総合500種指数.SPXとナスダック総合指数.IXICは戦争勃発以降で約5%下落した。これは大きな打撃であり、米国株の時価総額は3兆ドル余り吹っ飛んだ。だが欧州やアジア、新興国市場の企業と家計の方が苦痛は大きかった。これらの市場では主要株価指数が8-10%下落した。

<ガソリンとエネルギーは消費支出の2%>

米国の家計は全体としては、現在の石油価格に持ちこたえる能力を十分に備えているようだ。米商務省経済分析局(BEA)の統計によると、昨年第4・四半期にガソリンとエネルギー製品が消費支出全体に占める比率は2%にとどまり、2020年から21年にかけて新型コロナウイルスのパンデミックにより統計が歪められた局面を除けば、過去80年間で最も低い比率となっている。

この比率は、2022年に米WTI原油先物価格CLc1が130ドルに高騰した際には約3%。原油価格が150ドル弱と過去最高を記録した2008年には4%強だった。1980年から81年にかけての約6%がピークだった。

確かに、石油価格が継続的に高止まりすれば、この比率は現在の2%から確実に上昇するだろう。だがその場合でも、大半の米国民はそうした状況に対処できるはずだ。先週公表の米連邦準備理事会(FRB)の統計で示されたように、家計のバランスシートはかつてないほど強固だ。

昨年第4・四半期に可処分所得に対する家計純資産の比率は794%に上昇し、2022年序盤以降で最高となった。1950年代までさかのぼっても、この比率が昨年第4・四半期よりも高かったのは四半期ベースで3回しかなく、いずれも2021年から22年にかけてのパンデミック局面だった。

<エネルギーの不平等>

しかしながら、米国民はエネルギー価格高騰の影響に免疫があるわけではない。全米自動車協会(AAA)によると、ガソリンの全米平均小売価格は1ガロン当たり約4ドルと、この1カ月で35%値上がりした。

米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)の統計では、ガソリンの平均価格は3.72ドルと、戦争勃発以降で27%上昇し、過去2年半で最高となった。

もっとも2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻後の6カ月間、ガソリン価格は4ドルを超える水準で推移し、その年の6月には5ドルに達した。

ただ米国の大きな「エネルギーの不平等」問題を思い出すことが重要だ。つまり低所得の家計ほど、ガソリン・エネルギー支出が占める比率が高くなる。

昨年公表されたFRBの調査によると、米国の5世帯に1世帯は「エネルギーの負担が重い」世帯で、可処分所得に占めるエネルギー支出の比率が平均で25%だった。これに対し「エネルギーの負担が重くない」世帯では、この比率は7%にとどまっている。大半の「エネルギーの負担が重い」世帯は、所得分布の最下層とその次に属している。

トランプ政権にとって、エネルギー価格の高騰を軽視することは政治的な自殺行為となるだろう。11月の中間選挙を控えて大統領の支持率は極めて低く、野党民主党が上下両院で多数派を奪還する可能性があるだけに、なおさらだ。

その上、さらなる苦痛が待ち構えているかもしれない。石油価格の上昇が経済全体の物価に波及し、輸送、製造業、肥料、プラスチック、化学製品、食品などが軒並み値上がりする事態だ。

これこそが、トランプ大統領が石油価格の引き下げに奔走している理由だ。トランプ氏は23日、イランの電力施設とエネルギーインフラに対する攻撃を5日間延期すると表明した。

確かに、状況は極めて流動的であり、特に石油価格が一段と上昇した場合には、米国民の耐性が早急に弱まる可能性がある。それでも今のところ、100ドルの原油価格が米国の消費を腰折れさせると不安視するのは、過剰反応と思える。

(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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