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〔アングル〕米株市場は「個人投資家の黄金時代」に、資金流入が過去最高

ロイターDec 25, 2025 4:10 AM

Purvi Agarwal Twesha Dikshit

- 米国市場では利下げ期待を背景に、個人投資家が株価上昇をけん引している。アナリストによると、米国株への個人マネー流入は2025年に過去最高を記録する見通しだ。

米JPモルガンによると2025年、年初からこれまでに個人投資家が米国株に投じた資金は、前年同期の1970億ドルから53%増加した。個人による取引が過熱した2021年のピーク時の2700億ドルを14%上回っている。

同社の別の取引データによれば25年、個人による売買代金は全体の20―25%を占め、4月には過去最高の約35%に達した。

調整局面では、割安となった優良株を積極的に買い進めた。特に4月、トランプ米大統領が「解放の日」関税を発表して世界市場が混乱した後の買いが目立ち、S&P500種.SPXの最高値更新につながった。同指数は年初来で約16%上昇している。

ジェフリーズの中小型株戦略担当、スティーブン・デサンクティス氏は「個人投資家は今後も、特に2026年にかけて市場で存在感を示し続けるだろう。25年は利益が上がった上、株取引への意欲もあり、取引環境も整っていた。これからも市場で無視できない存在になる」と述べた。

米ロビンフッドHOOD.Oやインタラクティブ・ブローカーズIBKR.Oといった低コストで手数料無料のネット証券の台頭により、一般の米国人は市場に参加しやすく、かつ低コストで取り引きできるようになった。そのため、株式市場における個人投資家の参入は年々着実に拡大してきた。

この動きが注目されるようになったのは、新型コロナウイルスのパンデミックに見舞われていた2021年のこと。手元資金に余裕のあった多くの米国人が自宅待機を余儀なくされた結果、スマートフォン向け取引アプリを使い、ゲームストップGME.Nから巨大ハイテク株まで幅広く投資した。

証券会社のデータや経営陣によると、25年はエヌビディアNVDA.Oやパランティア・テクノロジーズPLTR.OといったAI関連銘柄が特に人気を集めた。パランティアは機関投資家が割高感への懸念から投資を手控える中、個人が押し目買いを進めたことで株価が2倍以上になった。

個人投資家に人気の高いテスラTSLA.O株は12月17日、2024年末以来となる最高値を付けた。

インタラクティブ・ブローカーズのチーフ・ストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は「当社のプラットフォームで最も活発に取引されている2銘柄は通常、エヌビディアとテスラだ。個人投資家が銘柄のテーマを握り、機関投資家も追随せざるを得なくなっているという一例だ」と述べた。

投資家は一段とテーマ性を意識するようになり、量子コンピューティング企業、ウラン鉱山会社、金属鉱山会社、レアアース関連企業も個人の関心を集めた。

<個人投資家のETF選好強まる>

複数の大手取引プラットフォームの幹部によると、2025年の個人取引は株価指数、暗号資産、商品に連動する上場投資信託(ETF)を選好する動きが強まったのが大きな特徴だった。

米ゴールドマン・サックス・アセットマネジメントで顧客資産運用部門のグローバル共同責任者を務めるブライアン・レイク氏は「投資家は引き続きETFの仕組みに引きつけられている。取引時間中はいつでも売買でき、税制面で有利で透明性も高い」と述べた。

米チャールズ・シュワブで取引・デリバティブ部門を統括するジョー・マゾーラ氏は、いわゆる「ミーム株」の熱狂は縮小し、期間も短くなっていると指摘。「個人の売買は以前より、情報に基づいたものになっている」と述べた。

「25年のリテール(個人投資家)は、市場の力学をよりよく理解している」とも付け加えた。

<利下げ期待が主要な触媒に>

アナリストや証券会社によると、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測を背景に相場の追い風は2026年も続き、個人投資家の活発な動きは継続する見通しだ。

市場のボラティリティーが大きくなれば、下落局面で押し目買いを狙う個人投資家も見込まれる。ただ足元では、そうした機会に対する熱意は以前ほど強くないようだ。

ロイターは15日、米取引所運営大手ナスダックNDAQ.Oが米株に対する世界的な需要を取り込むため、24時間取引に向けた書類を米証券取引委員会(SEC)に提出する計画だと報じた。市場では、この動きが個人投資家の活発な取引をさらに後押しするとみている。

「知識や市場へのアクセスが向上し、高度な取引基盤も整ったことで、個人投資家にとっては一種の黄金時代に入っている」――トレードステーションのグローバル市場戦略責任者、デービッド・ラッセル氏はこう述べた。

もっとも、2025年の相場をけん引してきたAI関連銘柄には不透明感もくすぶる。投資家がポートフォリオの分散を進める可能性があることから、26年が25年の記録を上回る年になるとみる向きは少ない。

ネット証券「eToro」の米国投資アナリスト、ブレット・ケンウェル氏は金融、通信、一般消費財、エネルギー、鉱山、金鉱山関連のETFが好調となる可能性があると予想する。ただ「個人投資家の関心は結局のところハイテク株に向かいやすい。特に相場に変動があれば、2026年も再びハイテク株に注目が集まりそうだ」と話した。

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