
[ソウル 30日 ロイター] - 韓国サムスン電子005930.KSが30日発表した第3・四半期決算は営業利益が前年同期比32%増加し、3年超ぶりの高水準となった。メモリーチップ事業の売上高は過去最高を記録した。同社は人工知能(AI)需要を背景に半導体市場の好調が続くと見込み、来年は最先端品の量産に注力する方針を示した。
AIチップセットの重要な構成要素である高帯域メモリー(HBM)チップの生産を大幅に拡大すると表明。需要の増加に対応するため、来年の設備投資を大幅に増やす計画を明らかにした。
メモリーチップ事業幹部のキム・ジェジュン氏は、決算発表後の電話会見でアナリストに対し「当社の投資と生産能力拡大計画を考慮しても、来年は顧客の需要が供給を上回ると予想される」と指摘。メモリーチップの需要は「例年よりはるかに力強く、速く伸びる」とし、価格上昇が加速するだろうと述べた。
サムスンの株価は決算発表を受けて一時5.3%上昇した。
<チップ不足続く見込み>
第3・四半期は従来型半導体市場の好調が寄与した。データセンター向けの需要が高まる一方で、業界が高度なAIチップの生産にシフトする中で従来型チップの供給が逼迫している。
キム氏は、このシフトが携帯電話やパソコン用メモリーの供給を制約しているとし「供給制約は来年も続くと予想される」と話した。
半導体事業の営業利益は前年比80%増の7兆ウォン(49億2000万ドル)。メモリーチップ事業の売上高は26兆7000億ウォンと、前年同期の22兆3000億ウォンから増加し、過去最高を記録した。
サムスンは、HBMの現行世代「HBM3E」は「全ての関連顧客」に販売されていると述べ、SKハイニックス000660.KSなど競合企業と同様に、米エヌビディアNVDA.Oに最新の12層HBM3Eチップを供給していることを示唆した。
次世代品「HBM4」について、主要顧客にサンプルを出荷しているとし、需要増加を見込んで来年は量産に注力するとした。
キム氏は「顧客からの追加要求が続いているため、さらなる生産能力拡大の可能性を社内で検討している」と説明した。
営業利益は12兆2000億ウォン(85億8000万ドル)。自社予想の12兆1000億ウォンとほぼ一致した。
サムスンは声明で「半導体市場は継続的なAI投資の勢いにけん引され、好調を維持する」と予想。また、第4・四半期の見通しについて「AI業界の急成長が新たな市場機会を切り開く」との見方を示した。