
[21日 ロイター] - 米半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI)TXN.Oが21日発表した第4・四半期の売上高および1株利益見通しは、市場予想を下回った。米国の対中関税や貿易摩擦によるマクロ経済の不透明感が、同社の主力であるアナログ半導体の需要回復を妨げている。
TIは第4・四半期の売上高を42億2000万─45億8000万ドルと予想。LSEGがまとめたアナリスト予想平均(45億1000万ドル)を下回った。1株利益見通しは1.13─1.39ドルと、市場予想の1.41ドルを下回った。
発表を受けて、同社株は時間外取引で8%超下落。今年に入ってからの株価は約3%安となっており、投資家は関税や貿易交渉の影響を警戒している。
ハビブ・イラン最高経営責任者(CEO)は電話会議で、供給過剰が続いてきたアナログ半導体について「回復は見られるが、ペースは非常に緩やかだ」と述べた。
スティフェルのマネジングディレクター、トーレ・スヴァンバーグ氏は「自動車や産業機器向け市場のデータは、関税や貿易摩擦の影響もあり、依然としてばらつきが大きい。投資家はある程度の弱含みを予想していたが、今回のガイダンスは予想以上に弱かった」と述べた。
一方、第3・四半期の売上高は47億4000万ドルと、市場予想(46億4000万ドル)を上回った。個人向け電子機器市場の需要改善が寄与した。同期の1株利益は1.48ドルで、市場予想(1.49ドル)をわずかに下回った。
イラン氏は「特に産業分野の顧客と話をすると、投資や新工場の建設、設備投資の拡大などを考えると、様子見の姿勢が見られる」と指摘。
トランプ米大統領は8月に輸入半導体に100%の関税を課すと表明したが、依然として不透明な部分が多く、イラン氏は「関税率に関する条件がまだ確定していない」と懸念した。
同社は半導体サプライチェーン(供給網)の国内化を推進する中、製造拠点拡大のために米国に600億ドル以上を投資することを表明している。