
Ka Sing Chan
[香港 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国はこの数年、不動産市場崩壊の余波が経済を直撃する中でも、消費を喚起する大規模な景気刺激策を控えてきた。今や貿易摩擦がさらなる打撃となっており、中国共産党が今週開く第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)で検討する2026年から30年の第15次5カ年計画の重要性は増している。政策立案者は、これまで以上に手腕を求められている。
今年前半、中国はワシントンとの関税戦争をうまく乗り切っていた。しかし第3・四半期の国内総生産(GDP)の前年比伸び率は4.8%に減速し、影響が出始めていることを示唆した。ロイター調査で4.8%と予想していたエコノミストは、第4・四半期以降は4.3%程度まで減速すると予想する。
年初、中国政府は成長に対する「外部ショック」を警告し、それに対応して国内需要を押し上げると約束した。製造業者が欧州やアジアなどの他の市場にシフトしたため、1ー9月の輸出は7.1%の伸びを達成した。
当局者は今回、1─9月に経済が5.2%成長したと実績を強調し、5%前後という政府の今年の成長目標を達成する軌道上にあると示唆した。しかし消費はさほど明るい材料でなく、小売売上高は同期間に4.5%しか拡大せず、9月は3%に鈍化した。
中国人民銀行は20日、大半の企業向け銀行融資の基準となる1年物最優遇貸出金利CNYLPR1Y=CFXSを5カ月連続で据え置き、景気刺激策に対する様子見姿勢を改めて示した。
株式投資家はさほど辛抱強くないかもしれない。1年前に発表された信頼回復策を含む一連の政策措置でA株市場を26%上昇。22年のJPモルガンのレポートで広まった「中国は投資不可能」説のおおむね打ち消すのに寄与した。株主たちはその後、追加の景気刺激策、特に需要を拡大させる措置を求めてきた。
今週開かれる4中全会に対する期待が高まっている。21─25年の第14次5カ年計画の下では、年5%の成長を背景に経済規模が14兆5000億ドルから18兆9000億ドルに拡大したが、家計消費は9月時点でGDPのわずか36%を占めるにとどまっている。
計画立案者にとって最重要任務は、年5%の成長率を20年代末まで達成可能とすることだとみられる。ただ彼らには、消費主導型経済が計画経済でも可能なことを証明する圧力が高まっている。
●背景となるニュース
*中国GDP、第3四半期は前年比+4.8% 1年ぶり低い伸びnL6N3W1046
*中国人民銀、最優遇貸出金利を据え置き 5カ月連続nL6N3W1017
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)