Juveria Tabassum Nicholas P. Brown
[30日 ロイター] - 米スポーツ用品大手のナイキNKE.Nが30日発表した2026年度第1・四半期(25年6―8月)決算は、売上高と1株利益がいずれも市場予想を上回った。有力市場である中国で販売不振が続き、関税によって利ざやは圧迫されたが、ブランド力回復の取り組みが奏功した。
ナイキの株価はこの日の時間外取引で一時3.4%上昇した。
6─8月期の売上高は前年同期比1%増の117億2000万ドル。LSEGがまとめたアナリスト予想は5.1%減の110億ドルだった。1株利益は0.49ドルで、市場予想の0.27ドルを大幅に超えた。在庫の圧縮が寄与した。ただ、前期に440ベーシスポイント(bp)低下した売上高総利益率は第1・四半期も320bp低下して42.2%となった。
ナイキにとって世界第3位の市場である中国では苦戦を強いられた。中国勢ブランドとの競争激化に伴う需要の落ち込みにより、大中華圏の売上高は5四半期連続でマイナスを記録した。25年度に中国はナイキの世界全体売上高の15%を占めていた。
またナイキは、スイスの「On」ONON.Nやフランスの「HOKA」といった新興の競合ブランドにシェアを奪われた。
エリオット・ヒル最高経営責任者(CEO)は、消費者を慎重にさせる関税の不透明さなどを踏まえれば、事業再建は容易でないというのが現実だと指摘。「全てのスポーツ、地域、販売チャネルを同じ軌道に乗せるには、まだ課題が残っている」と述べた。
今年の関税関連コストの見通しは約15億ドルとし、従来の10億ドルから上方修正した。
第2・四半期の売上高は前年同期比で1桁前半の減少を予想。アナリストは3.1%減と見込んでいた。また、不振の卸売事業は26年度にプラス成長に転じると予想した。