[29日 ロイター] - トランプ米大統領は29日、米国外で制作された全ての映画に対し100%の関税を課すと表明した。トランプ氏は5月にも同様の考えを示しており、海外の興行収入や他国との共同制作に依存する映画産業に対する不確実性が強まりそうだ。
トランプ大統領は自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に「われわれの映画産業は、まるで『赤ん坊からキャンディーを奪う』かのように、他国に盗まれた」と述べた。
トランプ氏の発言を受け、米動画配信大手ネットフリックスNFLX.Oの株価は一時約1.5%下落した。
トランプ氏がどのような法的権限で外国の映画に関税を課すのかは不明。
<ハリウッドのビジネスモデルに影響>
今回の関税は、ハリウッドのグローバルなビジネスモデルを根底から覆すことになる。
ハリウッドは、カナダ、英国、オーストラリアなど海外制作拠点への依存度を高めている。こうした国は、税制優遇措置を通じて、スーパーヒーロー大作からストリーミングドラマに至るまで、高予算の撮影を誘致している。
同時に、外国の制作会社との共同制作も一般的になっており、特にアジアや欧州では、現地のパートナーが資金調達、市場へのアクセス、配給網を提供している。
また、海外の撮影現場で働く視覚効果アーティストや制作クルーなど、米国人労働者に影響が及ぶリスクも指摘されている。
PPフォーサイトのアナリスト、パオロ・ペスカトーレ氏は「不確実性があまりにも大きく、多くの疑問が浮上する」とし「コストが増加する可能性が高く、必然的に消費者に転嫁されるだろう」と述べた。