TradingKey – ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが再び日本市場で投資を拡大し、商社株がそろって上昇した。現地時間木曜日、三菱商事は公告を発表し、バークシャーの子会社が3月時点の9.74%から10.23%へと持株比率を引き上げ、初めて10%の節目を突破したと明らかにした。(通知変更の概要はこちら)
三井物産も同様にバフェットによる持株比率の引き上げを確認した。報道を受け、三菱商事株は一時2.9%高、三井物産は1.8%高、伊藤忠商事は3.5%高を記録。丸紅や住友商事も揃って上昇した。
【出所:Google Finance】
今回の追加投資は、バフェットが日本の大手5大商社の長期的な成長性に強い信頼を寄せていることを市場に示すシグナルとなった。バークシャーは2020年の初回投資以来、伊藤忠、丸紅、住友、三菱、三井物産の5社に大型ポジションを築いてきた。これらの総合商社はエネルギー・農業・小売・インフラなど幅広い分野に事業を展開し、世界的な資源配分能力と景気循環に左右されにくい事業構造を備えている。
市場関係者は、日本の商社が近年株主還元を積極的に強化している点に注目する。株式自社買いと配当拡大によって海外投資家を引き付けている。岩井コスモ証券の清水範和アナリストは「バークシャーの安定的な持株は商社に“光輪効果”をもたらし、株主価値重視の経営への転換を後押ししている」と述べている。
注目すべきは、バークシャーがかつて「持株比率を10%未満に抑える」としていた点だ。しかし日本企業が「一定の範囲で制限緩和」を認めたことで、今回の上限突破が可能となった。三井物産の広報担当者は「今回の追加投資は、継続的な信頼と確信の表れだ」とコメントした。
地政学的リスクが高まる世界環境の中、日本の商社は安定したキャッシュフローとグローバル展開を武器に、国際投資家にとって魅力的な長期投資先となっている。バフェットの継続的な買い増しは、商社株のみならず日本株全体に安心感を与え、その「長期主義」投資スタイルが世界市場に及ぼす深遠な影響を改めて示す格好となった。