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エヌビディア、売上高・純利益とも市場予想を上回るも時間外で株価5%超下落――市場は何を懸念しているのか

TradingKeyAug 28, 2025 7:05 AM

TradingKey – 注目を集めたエヌビディア(NVDA.US)の2026会計年度第2四半期決算が発表された。売上高は467.4億ドル、純利益は264.2億ドルと、いずれも前年同期比55%超の増加で市場予想を上回った。にもかかわらず、株価は時間外取引で一時5%超下落し、引け時点でも3%安にとどまった。見かけ上の矛盾は、成長の持続性に対する再評価に起因する。

決算全体は堅調だったが、主力のデータセンター部門の売上高が2四半期連続で市場予想をわずかに下回ったうえ、当四半期の売上高の前期比成長率は6%にとどまり、AIブーム以降初めての一桁成長となった。これを一部アナリストは「成長ピーク」の兆候と受け止めている。2040 Advisoryのタウフィーク・ラヒム氏は、データセンター計算事業の前期比減速が超高成長維持の難しさを浮き彫りにしたと指摘。Zacks Investment Managementのブライアン・マルベリー氏も、成長率が50~55%と前年の100%超から鈍化したことで株価のモメンタムが弱まったと分析する。

一方、多くの機関投資家は株価調整を「過剰反応」とみている。Aptus Capitalのデビッド・ワグナー氏は、中国市場が制約されるなかでも50%超の成長を記録し、さらに73.5%の粗利率ガイダンスが収益力の強さを示していることから「押し目買いの好機」と強調。Globalt Investmentsのトーマス・マーティン氏やRaymond Jamesのマット・オートン氏も、大手クラウド事業者による巨額の設備投資がAIの黎明期を裏付けており、需要は「非常に旺盛だ」とみている。

PitchBookのディミトリ・ザベリン氏は、エヌビディアが主権系顧客を取り込むことで顧客基盤を多様化させている点を評価。総じて、今回の決算は成長減速の警報ではなく、市場の高すぎる期待を合理的に調整する契機に過ぎないとの見方が強い。ウォール街のコンセンサスは「AIの成長ストーリーはまだ始まったばかりであり、エヌビディアのファンダメンタルズは依然として強固。短期的な株価変動は長期的なトレンドを覆すものではない」というものだ。

さらに注目すべき点として、スコット・ベッセント米財務長官は水曜日、先週のインテルとの取引成立を受けて、米政府が他産業への出資を検討する可能性を認めた。ただしエヌビディアはその対象には含まれていないと明言した。

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